「もういいかな」 19歳での引退から復帰…元侍女子代表、126キロ右腕の“覚悟”
監督に恩返しを、そしていつか再び侍ジャパンに
選手は坂原を含めて15人。地元企業で働き、シェアハウスで生活しながら野球に打ち込み、地域の中小事業主が中心となって運営を行っている。「本当に温かいチームです。もう1回野球ができるうれしさとともに、こんなに恵まれているところでできるうれしさもあります」と坂原は言う。
気持ち的にはすぐにでも東近江市に引っ越したかったというが、今も仕事が休みの日に京都から1時間かけて通っている。その理由も責任感の強い坂原らしい。「自分が野球をやめると言って始めた仕事なので、すぐに辞めるのも良くないですし、自分で決めてこの環境に身を置いているので。1年間はこの形でやって、来シーズンから向こう(東近江市)に行けたらいいなと思っています」と微笑んだ。
女子野球との向き合い方も大きく変わった。「1回離れたからこそ、これからはずっと関わっていきたいという思いがでてきました。今までは自分がやめたら終わりという考えだったのですが、上田先生と長く話す機会も多くなり、自分自身で女子野球を広めていけたらいいなと思うようになりました」と将来を見据える。
半年近いブランクを経て、3月31日にチーム入り。また日本代表のユニホームを着たいという思いも芽生えてきた。「将来的にもう1回なれたらいいなという思いはあるのですが、1回野球から離れたという事実は自分の中では捨てきれないので。まずはチームに貢献できるように。プロでは結果もなかなか出なかったんですけど、このチームで日本一に貢献できるようになってからだなと思っています。まずは監督に恩返しをしてから」とまっすぐに言葉をつないだ坂原。その表情は野球ができる喜びにあふれていた。
【前編】司法書士や税理士…各界プロが運営に参加 滋賀・東近江市発「オトナ女子の本気野球」
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)