ロッテ荻野、36歳で最多安打&盗塁王の2冠 故障続きだった韋駄天の変化とは?

ロッテ・荻野貴司の年度別盗塁成績【画像:パ・リーグ インサイト】
ロッテ・荻野貴司の年度別盗塁成績【画像:パ・リーグ インサイト】

かつては圧倒的な盗塁成功率を誇っていたが

 ここからは盗塁数と、盗塁成功率について触れていきたい。

 最大の持ち味と言えば、なんといってもその圧倒的な脚力だろう。度重なる故障によって出場試合数が50試合を下回ったシーズンも3度ありながら、プロ初年度から12年連続で2桁盗塁を記録。盗塁成功率が非常に高いことも特徴であり、通算盗塁成功率は一般的にセイバーメトリクスで損益分岐点とされる.700という水準を大きく上回っている。

 しかし、2017年以前は8年間全てで盗塁成功率が.810を上回る驚異的な精度を誇っていたが、2018年以降は4年中3年で盗塁成功率.700台以下と、ベテランの域に差し掛かってからは成功率に陰りがみられる。特に2021年は自身初の盗塁王に輝いたものの、盗塁成功率はキャリアで初めて.600台に落ち込んでいるのは気がかりだ。

ロッテ・荻野貴司の内野安打成績【画像:パ・リーグ インサイト】
ロッテ・荻野貴司の内野安打成績【画像:パ・リーグ インサイト】

 最後に、2015年以降の内野安打数と、安打の中に占める内野安打の割合を「内野安打数÷安打」で求めた数値を、紹介したい。

 盗塁成功率は2021年に大きく低下した荻野だが、内野安打に関しては真逆の傾向が示されている。2015年以降は内野安打率が年々低下していき、2020年は.0508と非常に少なくなっていた。しかし、2021年は内野安打率が大きく上がり、安打数全体の15%近くを内野安打が占めていた。

 俊足の選手が多くの内野安打を記録している場合、いわゆる「走り打ち」の傾向があるとして懸念される。しかし、2021年は2桁本塁打を記録し、二塁打と三塁打もそれぞれリーグ上位5傑入り。力強く振り抜く打撃を維持したうえで、活かすべきところで持ち前の俊足を活かしていると言えそうだ。

 また、2020年までセンターを主戦場としていたが、現在は主にレフトを守っている。新人時代には圧倒的な守備範囲とアクロバティックなプレーで印象を残したが、現在は当時のようなアグレッシブな守備を見せる機会は減少しつつある。

 それでも、2021年は瞬発力や球際の強さを活かし、幾度となく好守を見せてチームを救ってきた。外野手としては12球団最多の得票数でゴールデングラブ賞を受賞した事実が、その守備力の評価を示している。守備でも、以前と違った形で、高い野球センスを発揮していると言えるだろう。

故障の克服だけでなく、打者としての成熟が好成績につながっている

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