井口資仁の“不満”が吹き飛んだ名将の一言 大浴場で打撃論伝授…“2人の師”から学んだ哲学|THE KEYWORD 井口資仁 #2
オジー・ギーエン氏(左から)、井口資仁氏、王貞治氏【写真:アフロ、増田美咲、加治屋友輝】井口資仁氏・第2回、2人の指導者に感じた「挑戦」への姿勢
2018年から5シーズン、ロッテで監督を務めた井口資仁氏には、チームを率いるにあたり影響を受けた人物が2人いる。ダイエー(現ソフトバンク)時代の恩師・王貞治氏と、ホワイトソックス時代の恩師であるオジー・ギーエン氏だ。2人の「挑戦」に対する姿勢から多くの学びを得たという。第2回は「2人の師」を語る。
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井口氏がプロの門を叩いた1997年、低迷していたダイエーの改革に取り組んでいたのが、監督就任3年目の王氏だった。王氏と言えば、言わずと知れた「世界のホームラン王」。通算868本塁打という記録は、野球史に燦然と輝く。
大きな期待を受けて1年目に1軍デビューを飾った井口氏だが、決して順風満帆なスタートではなかった。プロの投手を前にタイミングの取り方などで頭を悩ませていた時、声を掛けてくれたのが、他でもない王氏だった。圧倒的な存在でありながら、素顔はとても気さくで、球場では選手と同じ大浴場を使っていた。風呂場で打撃論に花が咲くこともあり、「身ぶり手ぶりを交えながら教えていただくこともありました」と懐かしそうに話す。
現役時代の話や、監督となってからの哲学に触れるたび、常に成長を求めて挑戦する王氏の探究心は「レベルが違う」と感じたという。
「王さんは現役時代、記録を作った後も毎年キャリアハイを狙うために打撃フォームを変えていたそうです。その話を聞いた時、頂点を極めた打者でも満足することはないんだ、リスクを恐れずに挑戦し続ける姿勢はすごいなと驚きました」
1997年5月3日、プロ1号となる満塁弾を放った井口氏【写真:アフロ】現状維持は衰退という言葉があるように、長年好成績を残す選手は現状に満足しない。「大谷(翔平)選手は54本塁打を打った後、バットを長くしたそうですが、さらに上を見据えてリスクを厭わない姿は、まさに王さんと同じ。僕も毎年キャリアハイを狙っていましたけど、どこか満足していたんだと思います。王さんや大谷選手はひとつ違うレベルで突き詰めている。そうでなければ、あれだけの成績は残せませんよ」。井口氏ほど能力がある選手でも、挑戦し続けることは決して簡単なことではなかった。
メディアを介して選手を労う…モヤモヤを解消した師の気遣い
(佐藤直子 / Naoko Sato)
