大盛況の「おぎさんぽ」、人前で初演奏した「栄光の架け橋」 ファンと過ごした濃密な時間|荻野貴司のチェコ通信~Hra!~#7

7月に実施された「おぎさんぽ in チェコ」の模様について語る【写真:本人提供】7月に実施された「おぎさんぽ in チェコ」の模様について語る【写真:本人提供】

荻野貴司が届ける連載第7回…「応援」の力を実感した7月

 今季はチェコ・エクストラリーガでプレーする元ロッテの荻野貴司外野手。決して野球がメジャーなスポーツとは言えない、言葉も文化も違う異国では、日本では得られなかった様々な経験を重ねている。「何事も経験」とチェコでの生活を家族とともに楽しむ荻野のリアルを届ける「荻野貴司のチェコ通信〜Hra!(フラ!)〜」。

 第7回は、“助っ人外国人”として感じる歯がゆさ、そして7月に実施された「おぎさんぽ in チェコ」の模様について、飾らぬ想いを語っている。

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 日本の皆さん、こんにちは! 6月から7月中旬にかけて約1か月の小休止を挟んだチェコのエクストラリーガですが、ドラツィ・ブルノは7月18日から再び試合が始まりました。気が付けばシーズンは最終盤を迎え、8月6日現在、残すところ4試合。アッという間だった気がする一方で、試合が週末しか実施されないという慣れないスケジュールのせいか、長く感じる部分もあります。

 シーズン途中から負けることが増えたドラツィですが、プレーオフ出場圏の3位をキープ(上位4チームが出場)。とはいえ、決して安心できる状況ではありません。5位のトシェビーチが残り試合で全勝し、ドラツィが全敗してしまうとプレーオフ進出を逃す可能性も……。

 こういうチーム状況だからかもしれませんが、最近は監督も選手も試合の勝敗に対する感情の振れ幅がビックリするくらい大きくなってきました。勝てば優勝したかのように喜ぶし、負けたらこの世の終わりかと思うくらいズドーンと落ち込む。ただ、面白いのが、翌日になれば何もなかったかのようにリセットされていること。切り替えの早さには本当に驚かされます。

週末だけの試合…感覚を維持する難しさ

 僕自身はチームの勝敗に関わらず、常に淡々とプレーを続けるタイプです。普段から感情を激しく表に出すことはないので、負けて悔しくても、勝って嬉しくても、大騒ぎすることはありません。意識してそうするわけではなく、自然なんです(笑)。長いシーズンを戦う野球では、感情の起伏が激しすぎると安定したパフォーマンスに繋がらないんじゃないかと思います。

 個人的には、今季の開幕当初から体のキレが足りないと感じたり、打撃も本調子とは言えなかったり、歯がゆさを抱えたままシーズン終盤まで来てしまいました。打撃の感覚を掴みかけたと思っても、試合は週末だけ。翌週になると掴みかけた感覚がなくなっていることもありました。毎日プレーをし続ける意味や重要性を改めて感じたシーズンでもあります。

 さらに自分の置かれた立場を考えると、どうしても満足なプレーができているとは言えないのです。ドラツィでは僕は助っ人外国人です。走攻守、いずれにおいてもチームやファンの期待に相応しい結果を残せてはいません。エクストラリーガ屈指の強豪チームが決して好調と言えないシーズンを送っていることに責任も感じています。

 応援して下さる皆さんの期待に応えるためにも、そして僕自身が納得いくシーズンを送れたと言えるためにも、プレーオフに進出し、頂点を極めるために貢献したいと思います。

日本から駆けつけた“応援団” 参加者15人と満喫した「おぎさんぽ」

 さて「応援」と言えば、7月には日本からチェコまで“応援団”が駆けつけてくれました。「おぎさんぽ in チェコ」に参加してくださった15人の皆さんです。「おぎさんぽ」は昨年から始まったファンイベントで、第1回は群馬で開催されました。そして、今回は僕がプレーするチェコ開催となったのですが、15人も参加してくださり、本当に嬉しかったです。

 ウィーンを経由してブルノに到着した皆さんは、18日と19日に試合観戦。ここでは球団が全面的に協力をしてくれ、球場内に「おぎさんぽ」の横断幕を掲げてくれたり、参加者一人ひとりの名前をバックスクリーンに掲示して写真を撮る機会を作ってくれたり。チームメートも協力的で、19日にはみんな「おぎさんぽ」特製Tシャツを着て試合前の練習に臨んでくれたほど。こういう光景を目の当たりにし、自分は本当に仲間に恵まれているなと感じました。

スタジアムのビジョンには日本から来たファンを歓迎するメッセージが表示された【写真:本人提供】スタジアムのビジョンには日本から来たファンを歓迎するメッセージが表示された【写真:本人提供】

 19日はデーゲームだったので、試合後に球場内にあるスペースでディナーショーが開催されました。ここには特別ゲストとしてチェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団で活躍するチェリストの三河慶史郎さんが仲間と生演奏を披露してくださいました。

サプライズでギター演奏生披露

 実はここでサプライズもあったんです。なんと、私、荻野貴司がギター演奏を披露しました! 日本にいる時もギター演奏を少しかじったことはあったのですが、長続きはせず。でも、チェコに来てから仲良くなった日本人の方がギターを弾くので、一緒に買いに行き、本格的に練習を始めたんです。とは言え、まだまだ初心者なので皆さんの前で披露するほどではないのですが、ゆずの「栄光の架け橋」を演奏し、参加者の皆さんと大合唱しました。

 さすがに人前で演奏することは大きな挑戦でした。何しろ周りはプロの音楽家ばかりですから(笑)。でも、不思議と緊張はしなかったんです。打席に立つ方がよっぽど緊張しますね。「栄光の架け橋」は前回の群馬でも参加者の皆さんと大合唱した歌で、「おぎさんぽ」にとってはテーマソングのような存在です。まさかチェコで歌えるとは思わなかったので感慨深いものがありました。

 20日は参加者の皆さんと一緒にチェスキー・クルムロフ城へ向かい、観光しました。現地ツアーガイドさんの説明を聞きながら、僕自身参加者の一人になった気分で、皆さんと距離も近くコミュニケーションを取れたのが嬉しかったですね。一人ひとりとしっかり話をする時間が取れましたし、すごく濃厚な時間を過ごせたのではないかと思います。

サプライズでギターの生演奏を披露し、ファンと濃密な時間を過ごした【写真:本人提供】サプライズでギターの生演奏を披露し、ファンと濃密な時間を過ごした【写真:本人提供】

 チェスキークルムロフからはプラハに移動して、それぞれ自由時間を楽しんだ後、翌朝お見送りをして解散。あっという間に時間が過ぎてしまいましたが、参加者の皆さんからは「楽しかった」という声が多く寄せられたようです。皆さんに喜んでいただけて良かったと思うと同時に、何より僕が元気づけられました! 改めまして、参加してくださった皆さん、ありがとうございました!

異国で嬉しい日本語

 今回の「おぎさんぽ」参加者の皆さんに限らず、ブルノで開催される試合には毎回必ず日本人の方が応援に来てくださいます。日本からという方もいれば、アイルランドやオーストリアなどヨーロッパ在住の方もいる。「荻野さんを見るために、初めてチェコに来ました」と言ってくださる方も多く、本当に嬉しく思います。球場で日本語が聞こえると、思わず「日本人の方ですか?」と声を掛けてしまう自分もいるほどで(笑)。日本では自分からファンの方に声を掛けることはありませんでしたが、やはり異国で日本語が耳に届くと嬉しくなるものです。

 僕はチェコ親善アンバサダーという肩書きも持つので、チェコ野球に関心を持ってくれたり、応援に来てくれたりする人が少しでも増えると、お役に立てているのかなとも思います。なかなかチェコに来るきっかけってありませんよね。僕自身、まさかチェコでプレーすることになるとは夢にも思わなかったくらいですから(笑)。

 さて、チェコでの野球シーズンは残りわずか。悔いの残らないシーズンとするためにも、全力でプレーしたいと思います。皆さん、応援よろしくお願いします!

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