監督指令で治療も拭えぬ疑念「痛いものは痛い」 “虚偽報告”で復帰も…待っていた結末|球界群像 加藤伸一#15
ダイエー、広島などでプレーした加藤伸一氏【写真:山口真司】右肩手術後のリハビリ中…監督の紹介で気功治療を受けた加藤伸一氏
それは嘘から始まった……。元ホークス右腕の加藤伸一氏(KMGホールディングス硬式野球部監督)はプロ9年目の1992年7月に右肩を手術し、リハビリ生活を経て1994年に1軍復帰を果たした。5月18日の近鉄戦(日生)では998日ぶりに勝利投手となった。自らの“見切り発車”によって、実現させたカムバック劇でもあった。2月のキャンプ当初は整体、気功治療を行っていたが、治っていないのに治ったと虚偽報告してチームに合流し、流れが変わったという。
右肩手術から1年以上が経過しても加藤氏に光明はなかなか差し込まなかった。長期リハビリは覚悟していたとはいえ、描いていた回復具合とは違っていたそうで、いろんな治療も試したという。1993年から福岡ダイエー監督に就任した根本陸夫氏からは徳島県にある気功の治療院も紹介された。「ダイエーの選手は何人か行っていましたよ。(気功師が)指を当てると黄色い光が出て(怪我が)治るらしいということでね」。
現地に滞在しての治療。「午前中の部とか、昼の部とかがあって、気功だけじゃなくて、その近くの整骨院に行ってマッサージを受けたりする。キャッチボールもさせられます。で、治った人から帰っていくんですが、僕はいつも残されるわけです。だって治らないし、黄色い光線は見えないし、投げていても痛いものは痛いんですよ、みたいな……。翌年(1994年)も1月にそこへ行くように、根本さんに言われた。『治るまで帰ってこんでいいから』ってね」。
1994年5月18日の近鉄戦で998日ぶりに勝利投手も…被った大偉業
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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