まさかの指令に「それはダメですよ」 野村監督から高すぎる要求…田中将大を巡る苦悩|球界群像 紀藤真琴#26
楽天時代の田中将大を指導する紀藤真琴氏(左)【写真:産経新聞社】紀藤氏は楽天コーチ時代に田中将大を指導
広島、中日、楽天でプレーした右腕・紀藤真琴氏(株式会社EJフィールド代表取締役)は、2006年シーズンに、野村克也監督率いる楽天の2軍投手コーチに就任した。2年目(2007年)は1軍投手コーチとなり、“野村の考え”を直に吸収できる機会も得た。その年は、甲子園を沸かして駒大苫小牧から2006年高校生ドラフト1巡目で楽天入りした田中将大投手のルーキーイヤー。課せられた田中指導のノルマは“新人王&2桁勝利”だった。
中日から2004年オフに移籍し、2005年シーズンの楽天創設メンバーの一員になった紀藤氏は、その年限りで現役を引退し、楽天2軍投手コーチに就任した。1軍がわずか1年で田尾安志監督から野村監督に交代したなかで指導者生活をスタートさせた。ID野球、野村の考えを学んだ。「カウント別の打者心理とかを勉強できたのは大きかったですね。自分がそれを現役時代に知っていたら、またちょっと変わったアプローチができたんだろうなと思いましたもんね」。
2007年シーズンからは1軍投手コーチに昇格。野村監督と話をする機会も多くなり、指導者としての引き出しも増えていった。そこで巡り合ったのが田中だ。2006年高校生ドラフト1巡目入団の大物ルーキー。「まずは怪我をさせちゃいけないなっていうのが第一ですよね。なのに、彼はやっぱり完投したいタイプのピッチャーなので(どういう状況でも)『まだ大丈夫です』っていうタイプなんですよ。そこの見極めがすごく大変だったですね」。
加えて田中指導にはノルマもあった。「球団からは『田中に、できれば新人王を取らせてほしい』と言われましたし、野村監督には『2桁以上勝たせろ』『開幕投手もいけ』って。そういう指令を受けました。開幕投手は『それは駄目ですよ』ってお断りしたんですけどね。2桁とかも“いやぁ、これはちょっと難しいのでは”と思いながらだったんですけど、田中は11勝だったかな。新人王も取ってくれたんで、肩の荷が下りた覚えがありますね」。
広島や中日、楽天で活躍した紀藤真琴氏【写真:山口真司】台湾でコーチも経験「王さんに電話をいただいた」
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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