「もう終わり」消えた腕の感覚…投げられぬ短い距離 元虎戦士が覚悟した“選手生命”|球界群像 狩野恵輔#17
現役時代の元阪神・狩野恵輔氏【写真提供:産経新聞社】元阪神・狩野恵輔氏、9年目に陥った送球イップス
元阪神捕手の狩野恵輔氏(野球評論家)はプロ9年目の2009年にレギュラーの座を獲得した。開幕からマスクをかぶり、127試合に出場。規定打席にはわずかに及ばなかったものの打率.262、5本塁打、35打点、10盗塁の成績を残した。しかしながら「バッティングはよかった年ですけど、守りは……」と渋い表情で当時を思い起こす。「あの年のキャンプでイップスになったんですよ」。日々、大変な思いだったという。
狩野氏は背番号を「99」にした2007年にプロ初安打がサヨナラ打(4月20日の巨人戦、甲子園)になるなど、54試合、打率.274、3本塁打、11打点の成績を残したが、2008年は右肘手術で出遅れ、12試合の出場にとどまった。1軍が真弓明信監督体制になった2009年はもう一度やり直しのシーズンだった。しかし「この年も肘がおかしいという感じでした」と万全ではなかった。その上に重くのしかかってきたのが短い距離の送球問題だ。
「キャンプの紅白戦で一塁にランナーが出たから、パッと投げようとしたら、ファーストが見ていなかったんですよ、僕のピックオフを。でも止められなくて、引っ掛けたらライト前に転がっていった。『狩野! 何しているんだ!』ってヤジが飛んで、僕からしたらファーストが見てないやん、なんだけど、誰もそんなことに気付かない。“最悪”って思っていたら……」。それをきっかけに、普通にできていたことができなくなったという。
無我夢中でレギュラーの役割…規定打席に14打席届かず
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
球界群像〜狩野恵輔編〜
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