阪神監督が「振るな」も…指示を無視 信じた直感、甲子園に起こった「奇跡」|球界群像 狩野恵輔#15
巨人戦でサヨナラ打を放った阪神・狩野恵輔氏【写真提供:産経新聞社】元阪神・狩野恵輔氏、オフの成果で7年目は開幕1軍
劇的な一打だった。元阪神の狩野恵輔氏(野球評論家)は2007年4月20日の巨人戦(甲子園)、延長12回に代打でサヨナラ打を放った。これがプロ7年目にしての初安打。ナイン総出での祝福で、もみくちゃにされての歓喜のシーンになったが、実はこれ、阪神・岡田彰布監督の指示通りの結果ではなかったという。「奇跡のヒットです。打っちゃいけないんです。ホントは……」と当時の状況を明かした。
2007年、背番号を「63」から「99」に変えた狩野氏は1軍の沖縄・宜野座キャンプからスタートとなった。「あの時、(藤川)球児さんに『お前、だいぶやったな。足とかえげつないやん』と言われたんです。自分ではわかっていなかったんですけどね」。2006年オフは、金本知憲外野手が肉体強化したことで知られる広島にジムに通うなど、これまで以上に鍛錬を重ねた。その結果が体つきにも表れていた。
打撃練習には、オフの間に金本からアドバイスされた軸回転を意識して黙々と取り組んだ。「1軍で結果を出していない僕のバッティングなんて、言ってみれば誰も気にしてくれない。他の若手の方が飛ばすし、見栄えもいいんでね。でも逆にそれがよかったんです。自分で思っていたことをずっと、やれましたから」。日を追うごとに手応えをつかんでいったそうだ。「これかな、こういうことかなっていう感じでね」。
キャンプ、オープン戦を乗り切り、開幕1軍を勝ち取った。だが、レギュラーの矢野輝弘捕手が万全の状態で、控え捕手・狩野氏の出番はなかなか来なかった。「何にもしていなかった。代走さえもなかった。ベンチで応援しているだけでしたね」。そんな中、ようやく巡ってきたチャンスが劇的打を放った4月20日の巨人戦(甲子園)。3月30日にシーズンが開幕してから、18試合目のことだった。
元阪神・狩野恵輔氏【写真:山口真司】岡田監督から「フォークは振るな」の助言も
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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