「ヒーローになるはずだった」最後の夏 甲子園Vで注目は相棒に…荷台で味わった歓喜|球界群像 達川光男#8
元広島・達川光男氏【写真:山口真司】達川光男氏は広島商3年夏に正捕手として全国制覇を成し遂げた
激闘続きだった。1973年の夏の甲子園は広島県立広島商が制し、春の選抜準優勝の無念を晴らした。元広島の達川光男氏はその時の正捕手。実力+アイドル的人気だった左腕・佃正樹投手とのバッテリーで頂点を極めたが、道のりは決して平坦ではなかった。広島大会では3回戦・庄原実戦での延長15回サヨナラ勝ちなど冷や汗試合もあったし、甲子園でも決勝の静岡戦はサヨナラスクイズでの栄冠だった。
その年の広島商は春の選抜で怪物右腕・江川卓投手を擁する作新学院を準決勝で撃破した。決勝は横浜に敗れたものの、注目度は大幅にアップした。「選抜の後は毎週土、日曜は招待試合だったので、広商のグラウンドでゲームをしたことがなかったと思う」。それでもおごることはない。選抜準優勝の悔しさを持って練習を重ね、夏の広島大会を迎えた。1回戦は海田に7-0、2回戦は松永に13-0と力の差を見せつけて勝利したが、3回戦の庄原実戦が思わぬ展開になった。
2-0の3回に3点を取られて逆転された。6回に同点に追いついたが、試合は延長戦に突入。15回に何とかサヨナラ勝ちを収めた。「際どい試合だった。野球の怖さというか、こっちが打ったのが正面に行き、向こうが打ったのはイレギュラーしたりとか、いろんなことが起きましたしね」。その試合が広商ナインに気合を入れ直させた。「あのあと(野球部長の)畠山(圭司)先生がずっと言っておられましたよ。私たちが、日本一になれたのは庄原実のおかげだってね」。
エース・佃正樹の人気は大沸騰「ファンレターの数もすごくてね」
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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