数値の発表は日本だけ? 「飛ぶボール」問題の沈静化と、聞こえてくる同情の声

なぜボールに使う毛糸の「水分率」が低くなってしまったのか

 3月29日のプロ野球で使用した統一球の反発係数が、アグリーメント違反、規定値を上回っていた問題で、製造元のミズノが15日に謝罪会見を行った。

 違反だったボールはゴム芯を巻く毛糸の水分率が通常のものよりも低く、若干、乾燥していた。その率が1パーセント低くなると、同じ太さの毛糸であれば、1メートル多く巻く必要が出てくる。

 外周や重量を見て、ミズノはボールの完成度をチェックする。1メートル長い毛糸を規定の大きさの中にいれるため、その分、きつく巻いていたことになる。そのため、ボールが全体的に硬くなり、少しだけ反発係数が基準値よりも超えてしまった。

 開発担当者は「外周とサイズ、重量で管理していました。(ボールを作る上で)多く糸を巻いたとか、巻いてないという報告はない。最終的にはボールの性能は反発係数で判断するという基準があるので……」と話しており、もともと巻く毛糸の長さまでは徹底していなかった。ただ、むしろ問題なのは、なぜ水分率が1パーセント低くなってしまったのかである。

 ミズノ側の説明では、製造している中国・上海の冬場は乾燥の度合いが高く、含水率が下がる傾向にあるという。湿度、温度を調整した部屋でボールを管理、保存をしていた。

 しかし、「夜になると加湿器がありますが、一晩中、動かしていると水がなくなるという危険性があるので、止めていた時間もあった。24時間監視はできず、冬場の時に含水率が下がったのでは」と説明した。加湿器は水がなくなると、出火の原因にもなりかねない。これが糸の水分率が低くなった原因のひとつといわれている。

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