ヤ軍投手コーチが改めて振り返る黒田博樹の記憶 「真のプロフェッショナル」
「どのような決断を下すのか、予想するのは難しかった」
ペナント争いも佳境に入ったメジャーリーグで、ニューヨーク地元紙が昨季までヤンキースに在籍した広島カープの黒田博樹投手の不在を惜しむ記事を掲載した。8月29日付の地元紙「スターレジャー」はウェブで「黒田はヤンキースを恋しくないかもしれないが、チームは黒田を必要としている」と伝えた。
同記事では、広島カープに復帰した右腕が先発として高いレベルを保ち、最多得票を獲得してオールスターに出場する活躍を見せていることを紹介した。田中、イオバルディ(9月7日に右肘けがで離脱)、ピネダ、ノバら先発陣が健闘していたヤンキースだが、8月末にサバシアが右膝の炎症で離脱(9月9日に復帰)するなどコンディションに不安を抱える。そんな中、昨季まで安定した活躍を見せた右腕の名前が挙がったわけだが、改めてヤンキースでの黒田の存在がいかに大きかったのかがうかがえた。
中でも、ロスチャイルド投手コーチは黒田のプロとしての姿勢に惚れ込んでいた一人だった。昨オフにベテランが下した決断をこう振り返った。
「どのような決断を下すのか、予想するのは難しかった。特に最後の年は思いを秘めてプレーしていたように見えた。でも、驚きはしなかったよ。もちろん、彼がいなくなったのは寂しいが、日本に戻るという考えはここ何年も彼の中にあった。素晴らしい決断だったと思うし、彼にも良かったのでは」
実績を積み上げても毎年キャンプで新たな球種習得を試みようとするどん欲な右腕の姿勢に共感し、ブルペンでの投球練習では1球ずつ声をかけて鼓舞することもあった。「練習熱心で真のプロフェッショナル。フラストレーションがたまるような状況にも耐えることのできる強さがあった」と精神力を評価する。
ロスチャイルド投手コーチには忘れられない思い出があると言う。