トライアウトでアピールできた選手は? 一発勝負にかけたそれぞれの思い
47選手が参加した今年のトライアウト、諦めない男たちの挑戦
12球団合同トライアウトが10日、静岡県営草薙球場で行われた。参加が発表されていた選手の中では今季オリックスを戦力外となった中山慎也投手のみ不参加となり、47選手(投手33選手)での開催となった。
プロの舞台を目指し、今年も数多くの選手が各球団の編成担当の前でアピールを試みた。3度目の戦力外通告を受けながら、トライアウトで3者凡退に仕留めたベテラン。昨季この舞台で這い上がりながらも、1年で契約解除となった右腕――。
加藤康介投手(前阪神)は過去2度の戦力外通告を受けており、今季は3度目の通告だった。左腕は「自分の中でまだやれる」という思いを抱き、地元・静岡の地でトライアウトに挑んだ。
結果は藤澤拓斗(前中日)、田上健一(前阪神)、林崎遼(前西武)を3者凡退に抑える好投。「『もういいんじゃない?』という周りの声もありましたが、自分としては多くの人に支えられてここまでやってきて、自分からやめるということは考えていなかった。(プレーする)場所がなくなった時にやめるべきではないかなと思ったので」と、大粒の汗を流しながら現役続行への想いを口にした。
同じくベテラン左腕の正田樹(元ヤクルト)も静岡の地に姿を現した。日本ハムで2002年に新人王に輝き、今季、四国IL・愛媛でプレーした34歳。「NPB時代は投げていなかった」というフォークを駆使し、佐藤貴規(元ヤクルト)、山本和作(前オリックス)、渡辺貴洋(元巨人)を3者凡退で打ち取った。
「みんながまだ野球をやりたいという独特な雰囲気は変わらなかった」と2008年、2013年などにも参加経験があるトライアウトのマウンドを振り返った左腕。「山本昌さん、岩瀬さん、高津さんらの背中を見ているのが大きい」と現役にこだわる胸の内を明かした。
左腕では金伏ウーゴ(前ヤクルト)も「真っ直ぐを見せたかった」と最速146キロを計時するなど3者凡退でアピール。2009年ドラフト2位入団の藤原正典(阪神)も2奪三振含む3者凡退に切って取り、「思い残すことなく投げました」と充実の表情を見せた。一方で2011年ドラフト2位の中後悠平(前ロッテ)は打者3人に死球、四球、四球。上々の結果を残す選手がいる反面、不完全燃焼となった選手も存在した。