“スイングしない打者”山田哲人がスゴイ 際立つ「引っ張り」と「見極め」

止まらないヤクルト山田の進化、磨かれる、ボール球を見送るスキル

 ヤクルトの山田哲人がハイペースで本塁打を量産し、開幕からの勢いが止まらない。昨年は最終的にはトリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)を達成しセ・リーグMVPに輝いたが、春先は不調だった。今年はアイドリングなしでその打棒を爆発させている。この活躍をデータの側面から分析すると、一時的な好調というよりも、進化といったほうがよさそうな兆候がいくつか見られた。

 最初に「進化」として紹介したいのは選球の部分だ。山田はその強打で貢献を見せる一方で、四球をよく選び自らも高い確率で出塁する能力も備える。これが打者としての価値を高めている。

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年々向上する山田哲人の選球眼

 四球を奪う以前の話として、山田はそもそもスイングをする頻度自体が非常に低い打者だ。2014年のスイング率(%)は38.8%で、NPBで規定打席に到達した全58人の打者の中で7番目という低い値であったが、そこから年々低下を見せ、今年は36.6%にまで下がった。

 これは規定打席に到達した全63人の打者の中で3番目、セ・リーグでは最もボールを見逃す打者、スイングしない打者となっている。この2年で成長を遂げ、投手からより警戒される存在になっていることや、浅いカウントでは長打を狙える球だけに狙いを絞り、それ以外は見逃すスタイルをとっていることなどがうかがえる。

 さらに山田は、ただスイングが少ないだけでなく、ストライク、ボールの見極めでも高い能力を発揮しており、その能力もまた成長の跡が見える。ボールゾーンに投じられた球に限定したスイング率は、2014年から24.9%→23.3%→17.6%と推移しており、今年はNPBで最も低い、優れた数字を記録している。

 ストライクを投げれば痛打を浴びる。長打を怖がりストライクゾーンを避ければ、山田は冷静に見極めて四球を獲得する。全打席に占める四球の割合を表すBB%(Base on balls Percentage)も年を追って高まっている。いよいよ本当にアウトに獲ることが難しい打者になってきているのだ。

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