カブス、延長10回の死闘制し108年ぶり世界一! ついに“ヤギの呪い”解く
敵地の第7戦に勝利し1908年以来3度目のWS制覇、インディアンスは68年ぶり世界一ならず
カブスは2日(日本時間3日)、敵地でのワールドシリーズ第7戦でインディアンスを8-7で破り、1908年以来108年ぶり3度目の世界一に輝いた。第4戦目までに1勝3敗と追い込まれたが、そこから3連勝。北米スポーツ史上最長となる107年間のブランクに終止符を打ち、ついにワールドシリーズを制覇した。インディアンスは68年ぶりの世界一を目指したが、先に王手をかけながら及ばず、最後は本拠地クリーブランドで連敗を喫した。
まずは初回、カブスは先頭で打席に立ったファウラーが、2ボール1ストライクからインディアンス先発クルーバーのツーシームをフルスイング。センターへの先頭打者弾となった。一方、インディアンスは3回、1死三塁からサンタナがライトへタイムリー。今季の最優秀防御率に輝いたカブス先発ヘンドリックスから1点を奪い、同点に追いついた。
しかし、カブスは4回、1死一、三塁でラッセルが中飛。浅いフライだったが、三塁走者のブライアントが思い切ってスタートを切り、間一髪でセーフ。1点を勝ち越した。続くコントレラスはフェンス直撃のタイムリーツーベース。この回2点を奪った。5回には先頭バエスがソロホームラン。2試合連続中3日でワールドシリーズ3戦目の先発を任されたクルーバーは、4回0/3を4失点で降板となった。インディアンスはここで中継ぎの“切り札“ミラーを早くも投入したが、2死一塁からリゾにライト線への二塁打を浴びる。スタートを切っていた一塁走者のブライアントは一気に生還し、カブスが4点差とした。
その裏、インディアンスは2死からサンタナが四球を選ぶ。カブスはここで先発投手のレスターを投入。だが、続くキプニスの捕前内野安打に捕手ロスの送球エラーも重なり、2死二、三塁となる。ここでレスターが暴投。一気に2者が生還し、インディアンスが2点を返した。
続く5回、カブスは1死からロスがセンターへソロ本塁打。今季限りでの引退を表明しているロスにとっては、現役最後の試合での一発となり、ミラーから2点目を奪った。レスターは8回2死まで投げ、3回3安打2失点の好投。カブスは8回2死からレスターがヒットを許したところで、守護神チャップマンを投入した。しかし、インディアンスは剛腕クローザーから続くガイヤーが右中間へのツーベースを放ち2点差に。さらに、デービスはレフトへの2ラン。劇的な一発で同点とした。
9回は両チーム無得点で延長戦に突入。ここで雨が強くなり、一時中断となったが、17分後に試合が再開した。すると延長10回、カブスは先頭シュワーバーがヒット。ブライアントの中飛で代走アルモラJrがタッチアップして二塁に進むと、リゾは敬遠四球。ここでゾブリストが三塁線を破るタイムリー二塁打を放ち、勝ち越しに成功した。さらに、モンテロもタイムリーで2点差。その裏はエドワーズJr.が1点を失ったものの、モンゴメリーが締めて8-7で勝利した。
カブスは1908年以来のワールドシリーズ制覇。107年も世界一から遠ざかっていたのは、“ヤギの呪い(ビリー・ゴートの呪い)”があるからだと語り継がれていた。1945年のワールドシリーズ第4戦で、ヤギを連れてカブスの本拠地リグレー・フィールドに観戦に訪れた酒場店主のウィリアム・サイアニスさん(愛称はビリー・ゴート)が、飼っていたヤギの入場を拒否されて激怒。その際に「カブスは2度とワールドシリーズに勝てない」と言い放ったとされている。その言葉通り、1908年を最後に世界一になれていなかったが、ついに悲願達成となった。
低迷期にドラフト上位で獲得した若手有望株が順調に育ち、元レッドソックス強化責任者のセオ・エプスタイン副社長の元、的確な補強でもチーム強化を進めた。今季はレギュラーシーズンで103勝(58敗)を挙げ、両リーグ最高勝率の.640をマーク。そして、昨季はレイズを強豪に育て上げたジョー・マドン監督を招聘。名将は選手たちの能力を存分に引き出し、就任2年目で頂点へと導いた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count