通算228盗塁、元G鈴木尚広氏が明かす盗塁の極意「投手を真面目に見ない」
NPB歴代1位の盗塁成功率「単に走るのは誰にもできる」
昨季限りで惜しまれながらスパイクを脱いだ元巨人の鈴木尚広氏。巨人一筋で過ごした20年のプロ生活で、通算228盗塁を積み上げた。現役時には控え野手ながら“走塁のスペシャリスト”として名を馳せ、2002年に1軍デビューして以来一度も規定打席には達することはなかったが、12年連続2桁盗塁を記録。盗塁成功率.8290は、元南海の広瀬叔功氏の記録(.8289)を抜いて歴代1位を誇る(通算200盗塁以上)。
代走という大きなプレッシャーが掛かる場面で、確実に1つ先の塁を陥れ続けた鈴木氏が、20年間で導き出した盗塁術とは? 出塁後の独特な“ピッチャーの見方”、出番の前に必ずしていた意外な“ルーティン”も含め、余すところなく語ってくれた。
――NPB通算228盗塁も素晴らしい記録ですが、盗塁成功率.8290という数字には驚かされます。
「すごいですね、改めてそう言われると(笑)。代走でも132盗塁という記録を作りましたけど、通算228盗塁だから代走の方が多いわけですよね。自分では『そんなにしたっけ?』って感じで、実感はないんですよ。1つ1つ積み上げた結果だったんで、途中で数を気にしたことはない。ただ、盗塁成功率だけは意識しました」
――“走塁のスペシャリスト”ですから「ただ走ればいってものじゃない」というプライドはありますよね。
「単に走るのは誰でもできます。走るべきか、走らないべきか。自分にとって有利な条件が揃っているか。考えることが成功率の高さに生きている。以前、イチローさんの本を読んだ時『むやみやたらに走るんじゃない』と仰有っていた。僕もそこに共感できますね。ただ走るだけはプロじゃない」