初の2桁も「大して上がらなかった」 チーム低迷で渋かった契約更改…超人気ドラ1の悲哀|球界群像 太田幸司#19
近鉄で活躍した太田幸司氏【写真:山口真司】杉浦忠投手コーチの助言で覚醒「太田、ちょっと力が入ってきたぞ、力を抜け!」
元近鉄投手の太田幸司氏(野球評論家)はプロ5年目の1974年シーズンで初の2桁となる10勝をマークした。青森・三沢高時代に甲子園を沸かした“国民的スター右腕”が決して人気だけではないところを見せつけた。それは無我夢中で投げ続けた結果でもあった。この年から近鉄は西本幸雄監督体制がスタート。新たに投手コーチに就任した元南海の大エース・杉浦忠氏には「すごく助けてもらいました」と感謝した。
4年目(1973年)に6勝14敗ながら、28先発を含む40登板をこなし、規定投球回にも到達するなど、いよいよプロでも力を発揮しはじめた太田氏は、5年目のキャンプ、オープン戦も順調に乗り越えた。「いつも阪神と定期戦があって、この年はそこでいいピッチングをしたんだけど、(当時新人の)掛布(雅之内野手)はインパクトがありましたねぇ。代打で出てきて外のシュートをレフトポール際ワンバウンドでフェンスに当たる打球。これが高校生のバッティングかって思いましたよ」。
のちのミスタータイガースの若かりし頃の姿にも刺激を受けて、太田氏はシーズンに突入し、勝ち星をさらに増やした。阪急監督時代に5度のリーグ優勝を成し遂げた西本氏がこの年から近鉄監督に就任。その名将の下で、43登板(26先発)10勝14敗2セーブ。ついに2桁勝利をマークする主力投手になった。また進化したが、これには新任の杉浦投手コーチの存在も大きかったという。
プロ5年で4度目のファン投票でオールスター…2回無失点で勝利投手
(山口真司 / Shinji Yamaguchi)
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