何を話しているの? コーチと選手、捕手と打者の秘密の“おしゃべり”の中身は?
サインに捕手のつぶやきに…ハイレベルの騙し合いも勝敗のカギ?
――「サインは定期的に変えているのですか?」という疑問がきていますが、どうでしょうか?
N 変えてます!
F サインもたぶん、何種類かパターンがあるんですよね。
K 1年に1回とか、何か月に1回とか、変える周期が……。
F あります。球団によってまちまちですけど。
N 自分の知っている範囲だと、まず選手がトレードされたら、変えます! あと、選手たちが作戦が見抜かれてるなって感じた時。そうなると、球団全体で「変えよう」ってなるみたいです。
F 試合日ごとに変わるところもありますよ。例えば、ABCと3つのパターンのサインを持っていて、「今日はAパターンでいこう」とか。
N 全体のサインだけじゃなく、バッテリー間のサインも、見抜かれていると思ったら、その日だけ変えることもあるみたいだし。イニングで変えることもあります。
F やっぱり、その道のプロがやっているから、ずっと同じサインだと数試合で見抜けちゃうんですよね。たぶんプロに限らず、高校野球や大学野球でも変えているはず。
N 強豪校は特にね。多いところは100何種類もあるって聞いたことがあるよ。
K 選手も覚えるのが大変ですよね。
F だから覚えられない選手は試合に出られない。覚えられなくても出られる選手は、サインがいらない選手。打席に入れば打ってくれる! っていうバッターじゃない限り、覚えなくていい選手はいない。
N そういう選手に限ってだけ、サインが変わったりすることもあるんですよ。すっごいシンプルになったりね(笑)。「お前のサインは、帽子のつばを触った後のこれだけだぞ!」とか。
K サインは、結構複雑ですよね。“取り消し”のサインもありますし。
N そう。たとえば、“帽子のつばを触った後に鼻を触ったら盗塁”ってサインがあるとする。でも、“その後に胸を触ったら、前に出した盗塁のサインは取り消しだよ”みたいな。で、その後にまた帽子のつばを触って新しいサインを出し直したりする。
F だまし合いですよね! 盗塁のサインを出しておきながら、取り消しで別のサインを入れて……ってなると、相手は「あれ? さっき盗塁のサインが出てたのに、なんで?」ってなる。
――それでは舞台裏編、最後の質問はこちら! 「捕手が打者に話しかけることがあると聞きましたが、本当でしょうか?」
N&F これ、めっちゃありますよ?
K 打者は気が散らないんでしょうか?
N それが作戦です!(笑) よっぽどのことがない限り、ルール違反にはなりません。
K 何を話しているんですか?
F 世間話ってパターンもあるよ。今年でいえば、ソフトバンクから福田秀平選手がロッテに行ったでしょ? 福田選手が打席に立つと、甲斐捕手が話しかけるんですって。「福田さん、元気ですかー?」って(笑)。そうしてバッターの気を逸らしたり、集中力をそぐようなことを、ちょっと仕向けたり(笑)。結構、どの捕手もするって言いますね。
N そうそう。「ホームランバッターが来たよ~!」とか「さっき、変化球打たれたから、どうしよっかな~?」なんて言ってみたり(笑)。
K あはは! それ、打者は無視してもOK?
N 無視する人もいるし、話しちゃう人もいるし。話すのが上手な捕手もいるんです。
F 逆に打者が捕手に話しかけることも。「どうせストレートで来るんでしょ~」なんてカマをかけてキャッチャーを混乱させて、自分が投げてほしい球種に引っ張ってくるとか。
K 本当にだまし合いですね!
N でも、だまし合いだけでもないんです。時々、ここはヒットを打たれてもいいって場面があったりもして。たとえば10対0で点差が開いて、8回表の先頭打者がこの試合で引退する、みたいな場面。すると捕手がその選手に花を持たせるために、「○○さん。全球ストレートでいきます!」って言うこともあるって聞いたことが。もちろん本当はダメなんだけど、そんな素敵な話もあるんですよ。
「試合の舞台裏にまつわる疑問」、いかがだったでしょうか? 他にも「選手にまつわる疑問」や「ルールにまつわる疑問」に、ユニークな質問がたくさん来ています。 「僕らで答えられるかな?(笑)」なんて言いつつも、記者は大張り切り! “野球女子の素朴な疑問”シリーズ、続きを楽しみに待っていてくださいね。
(構成・中塚真希子 / Makiko Nakatsuka)