川崎宗則、和田毅が活用する「招待選手」って何? マイナー契約の選手がメジャーキャンプに参加する意味とは

「招待選手」に選ばれるのはどんな選手?

 マイナーキャンプは場所も違えば、時期もずれているため、首脳陣の目に触れることはない。「招待選手」となれば、選手としてもアピールが可能になり、メジャー昇格のチャンスが大きく広がることになる。招待選手だけで1チーム30人前後に及ぶこともあるのだから、いかに有効に活用されているかが分かる。

 では、招待されるのは主にどんな選手なのか。もちろん、ボーダーライン上にいるプレーヤーには実力が未知数の若手が多い。ただ、実はメジャーで実績十分のベテランがこういった契約を結ぶこともよくあるのだ。非常に多い例が、故障で長期離脱を余儀なくされ、復活を期する選手。球団は、怪我の回復具合さえよければ、計算できる選手としてメジャー登録できる。

 2006年に右肘を手術した野茂英雄は、2007年にベネズエラのウィンターリーグに参加し、2008年にロイヤルズとマイナー契約を結んで、キャンプに招待選手として参加した。結果として開幕メジャーこそならなかったものの、アピールが実って4月5日に昇格し、同10日のヤンキース戦で中継ぎとして1000日ぶりにメジャーで登板。松井秀喜からフォークボールで空振り三振を奪い、地元ファンから大歓声を浴びた。結局、その後は結果を残せずに同20日に解雇され、7月には引退を表明。しかし、メジャーキャンプへの招待がなければ、伝説的な復帰登板はなかっただろう。

 特にメジャー昇格が期待される選手ならば、「スプリット契約」を結ぶこともある。これは、招待選手でありながら、メジャーに昇格した場合の昇給もあらかじめ決めた契約のこと。実績のある選手などには、40人枠を勝ち取った場合に失礼のない金額が用意されるのだ。2006年オフに巨人を退団し、39歳で海を渡った桑田真澄は、パイレーツとスプリット契約を結んでキャンプイン。オープン戦で右足首の靱帯断裂という大怪我があったものの、6月9日にメジャー昇格を果たしている。

 もちろん、成功例だけでない。昨年、インディアンスとマイナー契約を結んだ松坂大輔は開幕メジャーに残れず、その後も3Aコロンバスで登板を続けた。結局、8月にインディアンスでは昇格を望めないと判断し、自ら契約破棄を申し入れるオプトアウトの権利を使って退団。先発不足だったメッツとメジャー契約を結んでいる。招待選手でメジャー昇格を勝ち取れるのは一部の選手だけ。一方で、小さなリスクでいい選手を掘り出せる可能性があると考えれば、球団によりメリットの多い制度と言えるかもしれない。

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