なぜメジャーでトミー・ジョン手術が頻出するのか アメリカスポーツ医学研究所が調査結果を発表
今季は20人以上の投手がトミー・ジョン手術を受けている
メジャーリーグの投手に現在多発する利き腕の肘の靭帯損傷の問題で、アメリカスポーツ医学研究所(ASMI)がこのたび、「100%全力で投げるタイプ」と「速球派」の投手が肘の靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)につながる負傷のリスクが高まるという調査結果を発表した。ESPNが報じている。
今季はこれまで、マーリンズの若きエース、ホセ・フェルナンデス投手を筆頭に、ダイヤモンドバックスのパトリック・コービンやアスレチックスのA・J・グリフィン、ヤンキースのイバン・ノバら20人以上の投手がトミー・ジョン手術を受けている。
同じ症状の故障者が続出していることについて、メジャーリーグ機構のコミッショナー、バド・セリグ氏も危惧しており、今月上旬のオーナー会議で「何度も何度も恒常的に(トミー・ジョン手術を受ける投手が)現れている事実を憂慮している。最高の若手のピッチャーがいるのに、残念なことだ」と語っていたという。
ASMIの調査担当医師のグレン・フレイシグ氏は報告書で選手の肘関節の内側側副靭帯損傷の流行の防止に関する9つの提言をまとめており、「若年時の投球過多」と「過労」が若い年代での肘の故障につながると指摘。さらには「様々なチームでの投球経験、投球開始後の年数、キャッチャー役を務めること、投球フォームの拙さ、フィジカルコンディションの低下などが肘の負傷のリスクを高める」と分析している。
「最高のプロの投手とは広範囲のスピードのボール、いい変化球、制球力、安定したフォームで投げる投手のこと。プロの投手の目的は出塁と失点を防ぐことで、スピードガンで高い数値をたたき出すことではない」とフレイシグ医師は報告書でまとめている。