MLB唯一の日本人レギュラー選手青木宣親 安定感の要因は?
青木はこの先、イチローにどこまで近づけるのか
昨季、青木の三振率は両リーグトップだった。今季の三振数もメジャー最少で、5月から6月にかけて72打席連続三振なしを記録。しかも、73打席ぶりの三振は見逃しで、空振り三振に限れば125打席連続なしという驚異的な数字を残している。選球眼の高さから四球も多く、出塁率は常に打率よりも6分程度高い。
さらに、青木にはスピードという武器もある。相手投手からしてみれば、内野に転がされれば、何が起きるか分からない。それがバットに当てることを苦にしない打者なのだから、きわめて厄介と言えるだろう。
そんなヒットメーカーが、夏場に壁にぶち当たった。7月中旬から8月にかけて思うように安打数が伸びず、打率も2~3分落としてしまったのだ。
ただ、その「スランプ」の理由が、またすごい。本人曰く、イメージ通りにボールを捉えているのに、それがなぜか野手の正面を突くのだという。「こんなのは日本時代も含めて初めて」と深刻な表情で話すが、なんともレベルの高い悩みである。
今季は1年を通してレギュラーとして活躍してきた。メジャー1年目だった昨年の疲労も相当なものだったに違いないが、それとは違って、今年は主力としての自覚を持ち続けることでたまった疲れもある。開幕前には「(1年目は)体力という面でもっともっと力が必要だと感じたし、また基本に戻ってしっかり走りたい。体は強くしないといけない」と話し、トレーニングに励んでいたが、5月中旬には約13時間も睡眠を取り「知らないうちに疲れがたまっているみたいです」と漏らしたこともあった。
青木にとっては、こうした1つ1つのことが糧となり、来季以降に生かされることになる。7月には、プレーオフ争いを見据えたレンジャーズが青木の獲得に興味を示すなど、安定した成績を残せることは、すでに米国内でも広く知れ渡っている。この先、イチローにどこまで近づけるのか、目が離せない。
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