WHIPで3位につけ、防御率でも高水準 岩隈久志の本当の凄さとは

対戦打者の反応を見極める冷静さ

 今や、球界を代表する右腕フェリックス・ヘルナンデスと「マリナーズの2枚看板」と言われる存在だ。今季開幕前に、岩隈久志がこれだけ活躍することを予想できた人は、果たしていただろうか。

 シーズン序盤から、メジャーで評価基準の1つとされる防御率、WHIP(1イニングでの安打+四死球)でトップを争い続けてきた。落差のあるスプリットの素晴らしさは、渡米前から誰もが知るところだったが、それに加えて投球の「巧さ」はアメリカでもトップクラスと言える。

 つまり、相手に「バッティングをさせない」技術が高いのだ。試合前に入念なミーティングをするのはもちろんだが、いざプレーボールの声がかかると、岩隈曰く「バッターの打ってくる感じで」捕手と投げるボールを決めていくのだという。

 例えば、5月31日のツインズ戦でこんなシーンがあった。スコアレスで迎えた3回。2死一、三塁のピンチで、ドージアに対して3ボールとしてから、91マイル(146キロ)、92マイル(148キロ)、94マイル(151キロ)とフォーシームを3球続け、二ゴロに打ち取った。表面的には力で抑え込んだようにも見えるが、少し違う。岩隈には、打者の反応がしっかりと見えていたのだ。

「2球目の空振りを見たときに、これはもう1球フォーシームを低めに投げればいいかなと思って。しっかり腕を振って投げられたので、うまく抑えられた」

 この日、最も相手の狙いから外れ、タイミングが合っていなかったのがフォーシームだった。それをしっかり選べるところに、この男の強みがある。

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