絶好調・田中将大を止める条件とは
田中の連勝を止めるために必要なこととは?
9月6日の試合ではルーキーの大谷が田中の連勝ストップに失敗した。周囲は大谷に期待したが、1年目の選手には荷が重すぎる仕事だったとも言える。だが、大谷は「もしかしたら・・・」という可能性を途中まで感じさせた。ここに田中攻略のヒントがある。田中と大谷の投げ合いで見えたこと。それは、好投手を倒すのは打者ではなく、同じ試合で先発マウンドに上がるピッチャーだということだ。
当時の投げ合いを振り返ると、勝負を左右する一番のポイントは精神面での戦いだった。4回まで日本ハムに2点のリードを許していたが、劣勢の田中には余裕があった。大谷とは踏んできた場数が違うのだから、当然と言えば当然だ。逆に、リードしている大谷の方が大きなプレッシャーを感じていたのが見て取れた。リードされても常に攻撃的な姿勢を失わない田中は心理的に優位に立っていたのだ。
裏を返せば、田中を精神的に追い詰められるような投げ合いができるかどうかが鍵となる。そんな力を備える投手の1人が、金子だ。
パ・リーグの投手成績(9月12日現在)を見てみると、金子は11勝8敗と勝利数こそ離れているものの、防御率は田中に次ぐ2位。完投数は田中よりも多い10度だ。投球回数もほぼ同じで、奪三振は金子の方が多い。何より経験が豊富だ。
8月21日のソフトバンク戦では9回1安打に抑え、完封勝利。8回2死まではノーヒットノーランという圧巻のピッチングを見せている。「僕はそういう運を持ってはいないんで」と記録について謙虚に話したが、金子がパ・リーグを代表する投手であることは間違いない。
田中を倒すには、そんな金子に代表されるような好投手が不可欠だ。少なくとも先取点を与えてしまえば、攻略は遠のいてしまう。今後の楽天の対戦カードを見ると、金子がぶつかる可能性は低く、リーグ戦で田中に土をつけることは難しいかもしれない。だが、クライマックスシリーズや日本シリーズでは各チームとのエース対決が見られる可能性が出てくる。
金子以外で打倒・田中の条件を備える候補としては、ソフトバンクの摂津正や巨人の内海哲也、菅野智之といったところだろう。彼らのような投球レベルの高い好投手が、いかに田中を追いつめられるか。田中の連勝がどこまで伸びるかも興味深いが、“ストップ・ザ・マー君”を誰が成し遂げるかにも注目だ。
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