パイレーツの新生、ゲリット・コールがチームを救う

23歳のルーキーが地区シリーズで完璧な投球

 この名前を覚えておいた方がいいかもしれない。ゲリット・コール。21年ぶりのプレーオフに進出したパイレーツのルーキー右腕が、地区シリーズでカージナルスに先勝を許していたチームを救った。7-1の勝利に貢献する快投を見せ、星をタイに。5日付の米全国紙USAトゥデーは、この活躍を大々的に伝えている。

 負ければ王手をかけられる一戦で、23歳は6回2安打1失点と踏ん張った。5回にカージナルスの主砲ヤディル・モリーナにセンターへのソロ本塁打を許した以外は、ほぼ完ぺきな投球。6回には100マイル(約161キロ)を4球投げるなど、パワフルさが際立った。

 2回には先制タイムリーも放つなど投打に存在感を発揮。「ただ自分のゲームプランを遂行しようとトライしただけだよ。そして、9月にやっていたように、速球を動かしながら、遅いボールも織り交ぜたんだ」。持ち味を発揮し、役割を十分すぎるくらいに果たした。

 今季、大きな注目を集めた逸材だ。6月にメジャーデビューを果たすと、シーズン終了まで先発ローテーションを守って10勝7敗、防御率3・22の堂々たる成績でプレーオフ進出に貢献。9月9日のレンジャーズ戦ではダルビッシュ有と投げ合い、7回3安打無失点の快投で1―0の勝利を収めている。平均96マイル(約155キロ)を超える速球は、すでにメジャーを席巻している。

 実は、米国内では以前から知られた存在だった。高校時代にヤンキースから1巡目(全体28位)でドラフト指名を受けたものの、これを断ってカリフォルニア大学ロサンゼルス高(UCLA)に進学。大学でも順調に活躍を続け、2011年のドラフトでパイレーツから全体1位指名を受けた。将来は間違いなくサイ・ヤング賞に輝く才能の持ち主とされている。超大物ルーキーの快投で、チームは再び加速しそうな気配だ。

 6日の第3戦は大観衆が後押しするホームに帰る。しかも、今季、16勝8敗と完全復活したフランシスコ・リリアーノが先発だ。クリント・ハードル監督は「これから“我が家”に帰れる。我々にとっては最高にプレーしやすい場所だ。そして、リリアーノをマウンドに送る。これらの要素を考えると、第3戦に力強さを持って臨める」と自信を漂わせた。

 敵地で2敗に終わっていたら、状況は極めて厳しくなっていた。超大型ルーキーは大仕事をやってのけた。21年ぶりにレギュラーシーズン勝ち越しを果たしたパイレーツが、まだまだメジャーを盛り上げそうだ。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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