宮本慎也の後継者となれるか ヤクルト岩村明憲にかかる来季への期待
もう、輝きは取り戻せないのか
岩村はパイレーツ、アスレチックスを経て、2011年に日本球界に復帰。だが、思うような成績は残せなかった。楽天では松井稼頭央と三遊間コンビを期待されたが、打撃も守備も精彩を欠き、同年9月には肋骨骨折の大けがを負った。翌12年も2軍生活が多く、活躍できないまま戦力外に。そして昨年、ヤクルトから入団当時の背番48を用意され、受け入れられた。
もう、輝きは取り戻せないのか――。
声援を送るヤクルトファン以外は、その復活を信じていないかもしれない。ただ、スイングはまだ衰えてはいない。何より情に厚い男であり、古巣に拾われた恩も忘れていない。そんな岩村には明確な「役割」が必要なのかもしれない。
ヤクルトはチームの精神的な支柱だった宮本慎也氏が今年、現役を引退。本塁打の日本記録を樹立したバレンティンに、日本での振る舞いや試合に臨む姿勢を指導したのはその宮本氏だった。日米の経験が豊富で、行動力がある岩村はその宮本氏の後継者になれる可能性がある。
スワローズは新人王が有力の小川泰弘投手(23)や次世代リーダー候補の川端慎吾内野手(25)が今後、中心になっていくだろう。だが、若手の勢いだけではシーズンを通して勝つことは難しい。岩村はパイレーツやアスレチックス、楽天ではどこか「よそ者」だったが、自身が育ったヤクルトを牽引できる存在だ。あのレイズを最下位から押し上げたような、岩村の「何苦楚魂」(なにくそたましい)があれば、自身も、チームも再び這い上がれるだろう。
繰り返すが、男はまだ諦めていない。楽天の快進撃に刺激を受けながら、岩村は日々、汗を流している。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count