G投手陣を苦しめる、楽天リードオフマン・岡島豪郎の『いぶし銀の打撃』

相手にとって厄介な岡島の“粘り”

 日本シリーズは10月31日に第5戦を終え、楽天の3勝2敗となった。11月2日からは再び仙台に戻り、第6戦が行われる。両軍とも今日1日に東京から仙台へ移動。王手をかけたイーグルスは、本拠地で初の日本一に挑む。

 ここまで楽天は藤田一也や銀次、ジョーンズの勝負強い打撃で、得点を生んできた。だが、忘れてはならないのは、彼らの起点となっている1番打者・岡島豪郎の存在だ。5試合を終え、19打数6安打、打率は3割1分6厘と好調を維持する。

 岡島の貢献はヒットだけではない。特筆すべきは、その粘りだ。まず第1戦。得点にはつながらなかったが、巨人の中継ぎ・スコットマシソンの150キロ後半の直球にくらいつき、7球もファウルした末に、12球目に四球を選んだ。

 セ・リーグの打者はあっさりと打ち取られてきたが、岡島は違った。アウトになっても、とにかく相手の投手に球数を多く投げさせる技を持っている。第3戦では初回、巨人・杉内俊哉から5球をファウルするなど、しつこく粘り、9球目をレフト前ヒットにした。翌日の第4戦でもファウルで粘り、フルカウントから四球を選んだ。それをきっかけに楽天は相手先発のホールトンから3点を奪っている。

 岡島の粘りは、経験豊富な投手たちのメンタルに着実にダメージを与えた。立ち上がりに不安のあった杉内やホールトンは、岡島に簡単にファウルされ、ボール球を軽々と見逃された。

 投手は、打者を打ち取れずに、ファウルされ続けると、自分のボールが投げられていないのではという錯覚、不安に陥ってしまうもの。そのため、フォームも、気持ちも不安定なままの投球を余儀なくされる。そんな精神面はボールにも伝わり、コントロールが乱れる。すると次第に球数も増えていき、失点につながる。そうなると、負のスパイラルからはなかなか抜け出せない。

 打線のつながりや破壊力では12球団屈指の力を持つ楽天。加えて、相手投手に嫌なイメージを植え付けるリードオフマンは巨人にとって非常に厄介な存在となった。楽天が先に3勝することができたのは、1番打者の岡島の力も大きな要因に違いない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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