日本プロ野球における、選手会長とキャプテンの役割の違いとは?
似ているようで大きく異なる役割
シーズンオフに入り、選手会長が代わるチームが出てきている。中日は吉見一起投手(29)から大島洋平外野手(28)に。巨人も内海哲也投手(31)から村田修一内野手(33)に交代となるという。
チームには選手会長という肩書きと、キャプテンという肩書きがある。球団によってはその方針によってキャプテンを置かないチームもあるが、この2つの役職は似ているようで役割は大きく異なる。
まず、選手会長は必ずチームに1人いなくてはならない。選手たちは日本プロ野球選手会に属しており、選手会長はチームの代表として全員の意見を集約する役目を担う。最近ではポスティング問題やWBCの出場の是非に関する問題があった。少し前では球界再編、ストライキなどの問題の話し合いにも、チームの意見を持って参加しなくてはならなかった。一般社会に置き換えれば、労働組合の長のような存在。ある程度の実績、チーム内での地位がなければ、意見の集約や説得もできないため、各球団ともチームの主力選手が務めている。球団のフロントに選手の総意としての意見を持っていくこともある。
一方、キャプテンは選手会長とは対照的にグラウンド内のリーダーであり、声や態度、プレーでチームを引っ張っていく存在だ。選手会長と兼務することはなく、時にはキャプテンが選手会長をチーム内でサポートすることもある。
例えば、巨人は今年まで内海が選手会長を4年間、全うした。一方で阿部慎之助(34)がキャプテンマークをつけ、チームの士気を高めている。巨人はその関係性が上手く機能したといっていい。阿部は内海に対して「お前はどんな時でも下を向くな」と話し、その背中を見ている後輩がいることを意識してプレーすることを厳命した。だからこそ内海も、たとえ負けても前を向き、チームの士気が低下するのを防ぐことができた。キャプテンの阿部の一言が選手会長としての責務が多い内海をしっかりと支えていた。
選手会長とキャプテンは役割こそ違うが、両者とも強いリーダー性が求められる役職であることは間違いない。お互いが助け合うことができれば、そのチームは強くまとまっていくはずだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count