メジャー挑戦への熱き思い 田中将大の覚悟が垣間見えた1年を数字で振り返る

細かい数字も図抜けていた2013年の田中将大

tanaka
田中将大の年度別成績

 次に、メジャーリーグの投手と比較しても、1位となる数字を挙げてみたい。これを見れば、今季は細かい数字もいかに図抜けていたかが分かる。もちろん、対戦した打者のレベルや環境等も違うため一概には比較できないが、いかに今季の田中が神がかっていたかを証明するための判断材料となるに違いない。

【勝率10割】

 ほかの投手が最も難しいと考えるのは、実はこの数字かもしれない。2009年に21勝4敗をマークした岩隈久志も、田中が20連勝した時点で「20勝することもすごいけど、負けないできていることがすごい」と話していた。今季、メジャーの最高勝率は21勝3敗でサイ・ヤング賞に輝いたマックス・シャーザー(タイガース)の8割7分5厘。打線の援護が必要となるなど、負けないためには投手にコントロール出来ない部分も多いだけに、田中が持つ「特別な力」が際立つ。

【クオリティー・スタート(QS)率100%】

 メジャーでは大きな評価基準の1つとされているQS(6回を3失点以内)を全ての試合で達成。これも驚異的だ。メジャーではクレイトン・カーショー(ドジャース)の82%が最高だった。先発投手としての義務を全うする責任感が見てとれる。

【WHIP 0・92】

 これもメジャーで重視される数字として有名。WHIP=1イニングあたりの安打+四球、つまり1イニングで何人の打者を出すかを表す数字だ。メジャー1位はカーショーの0・93。岩隈の1・01は5位だった。田中の気迫で抑え込む投球は圧巻だった。

【1イニングあたりの投球数14・04】

 米国の報道などでは「投げすぎ」を指摘されることの多い田中だが、実は今季の1イニングあたりの投球数は少ない。メジャーで1位だったのは、岩隈の14・12だ。それでも、これだけ「投げすぎ」の印象が強いのは、160球を投げた日本シリーズ第6戦に象徴されるように、責任を持って最後までマウンドを守り抜くことが多かったからだろう。

 このほかにも、群を抜いていた数字はある。対戦相手に左右される記録であり、比較対象としては不適切な部分もあるため項目からは外したが、防御率1・27は当然、米国を含めて1位。メジャーではカーショーが唯一の1点台となる1・83をマークしている。

 実は、援護率6・22も突出した数字だ。メジャー1位はライアン・デンプスター(レッドソックス)の6・07で、2位のフェリックス・ドゥブロン(レッドソックス)は5・74まで下がる。リーグが違えば比較対象としては成り立たないかもしれない。ただ、野手にとって、田中がいかに「勝たせたい」と思わせる投手であるかが分かる。

 今季の田中は断固たる覚悟を持ってマウンドに上がり、そんな絶対的エースを勝たせ続けようと楽天ナインも懸命にプレーしていた。そして、その先に数々の記録と初の日本一があった。メジャー挑戦か、残留か。どんな結論が出ようと、田中と楽天が送った歴史的なシーズンの輝きが色あせることはない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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