現場が求める外国人選手の条件とは

BASEBALLと野球の違いを受け入れられるかどうか

 楽天がレッドソックスで4番も務めたメジャー屈指の強打者、ケビン・ユーキリス内野手(34・前ヤンキース)の獲得を発表した。ユーキリスは総額3億円。今季は、6月に腰の手術を受けて28試合の出場にとどまったものの、メジャー10年で150本塁打、618打点の実績を持つ大物だ。

 今季、リーグ初優勝に貢献したアンドリュー・ジョーンズに続き、2年連続で大物メジャーリーガーが加わる。マーリンズへの移籍が決まったが、マギーもブルワーズなどで活躍したバリバリの大リーガーだった。今年の2人の活躍は見事だった。

 当たり外れのある外国人選手。監督、コーチが球団の国際担当、渉外担当から助っ人の補強で意見を求められた場合、大半の指導者が訴えるセリフがある。それは何か。

 ある投手コーチは「日本の野球をなめていない選手、とお願いするね」と話した。また別のコーチは「日本で上手くなりたい」と思ってくれている選手がさらに良いと指摘する。

 外国人選手の場合、実績があるのに成功しないのは、プライドが邪魔をしているからだ。日本の野球で成功する術は、来日1年目の選手より、日本での野球歴の長いコーチの方が知っている。BASEBALLと野球は違うのだ。そこに耳を傾けられる度量があるかどうかが非常に重要な要素となるのである。

 たとえば、セットポジションでの投球。日本ではきちんと静止ししたとみなされないとボークを取られる。ボークを取られると、苛立ちが増し、ボールが先行して悪循環に陥る。結果、自分のピッチングができなくなるケースが多い。米国では日本ほど静止の時間を求められないため、走者がいても自分のペースで投げることは可能だ。だが、日本ではそうはいかない。その国のルールがあるのだ。
 
 上記のコーチの言葉通り、日本の野球、文化をしっかり学んでいこうという姿勢を持つ外国人選手を各球団は好み、今では獲得条件の一つにもなっている。楽天のジョーンズやマギーは練習態度も非常に良かった。巨人のロペスやマシソンも練習姿勢が真面目で、コーチの話をよく聞く選手だと評価されている。リーグ優勝をしたチームにはそのような優秀な外国人選手がいるものだ。

 果たしてユーキリスはどうか。入団して、開幕が近づいたころ、日本の野球をどう受け止めているだろうか。世界一にもなった助っ人は日本の野球を「なめていない」だろうか。楽天のみならず、多くのファンが注目しているビッグネームだけに、野球日本での成功を期待したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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