マー君の寄付はアウトか? 新ポスティングシステムで懸念される問題とは

メジャー側が寄付に対して違反と指摘する可能性

 メジャーリーグ機構(MLB)からの「警告」に、どう対応するのだろうか。楽天からポスティングされた田中将大投手(25)が、球団への寄付を申し出たことに、MLBが珍しく迅速に対応した。譲渡金以外の金銭や有価物が日本野球機構(NPB)の旧所属球団に提供されることは、日米間の選手契約に関する協定で禁じられており、これに抵触する可能性があると指摘しているのだ。すでに、楽天側には協定の順守を求める文書が送られているが、果たしてマー君の寄付は協定違反になるのだろうか。

 寄付という行為は、7年間、世話になった楽天に対する、田中の純粋な気持ちでの「善意」のはずだった。昨年12月25日、楽天からポスティングシステム(入札制度)を利用しての大リーグ挑戦を容認された日の面談で、右腕は「出来る限りの恩返しをしたい。協力や寄付をしたい」と申し出た。新ポスティングシステムでは譲渡金が上限2000万ドル(約21億円)と設定されたが、楽天は田中にはそれを遙かに超える価値があると評価。額が低すぎることが最大の問題となり、大リーグ挑戦を容認するまでに時間を要した。それを解決に向かわせた要因の一つが田中の善意だったとされている。

 今回の制度では、球団への譲渡金が抑えられる代わりに、田中本人の契約が跳ね上がることが予想される。そのアンバランスな仕組みで自分が得することを理解した上で、田中は寄付を申し出たのだ。寄付そのものではなく、球団に何らかの形で出来る限りの恩返しをしたいという純粋な気持ちが、楽天首脳陣の心を動かしたと言えるだろう。具体的な寄付の内容は、当初から球場設備などへの資金提供とされていたが、これが後に1つのポイントとなった。

 その2日後、米紙ロサンゼルスタイムズが、田中の寄付が違反にあたると指摘。MLB側がNPB側に対し注意する可能性があることを報じた。

 新ポスティングシステムでは、譲渡金を支払う意思のある全球団が選手と獲得に向けた交渉をできる。譲渡金が一律になる代わりに、メジャー球団としては他の部分で努力が必要となるのだ。そこで不安視されているのは、前制度に比べて受け取る額が少なくなるNPB球団への「裏金」が横行すること。新ポスティングシステムでは、不正行為が発覚した場合に、当該選手がMLBでプレーできなくなるなどの厳しい罰則が科せられることになった。NPB関係者は、そういった条文が明記されていることも認めている。

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