なぜ背番号18は日本プロ野球のエースナンバーとなったのか

「18」を背負うことがモチベーションとなるケースも

 一方のアメリカでは野手がつける番号という認識が強く、あまり投手はつけていない。空き番となっているケースもある。ただ、今回、田中が入団するヤンキースでは黒田博樹がつけており、マー君は「特にこだわりはない」と19番を選択。黒田を差し置いてまでその番号をつけようとはしなかった。周囲が納得する投球をするのがエースであり、18番。田中は黒田が最もふさわしいと思ったに違いない。

 だが、「18」をひとつのモチベーションとしているケースもある。例えば、巨人で2012年から同ナンバーを背負う杉内俊哉だ。ソフトバンクホークスからFA移籍する際の交渉の席で、球団代表から提示された。他にも空き番号があり、巨人の左のエースの代名詞でも「21」などもあった。そのような場面では、18番は偉大すぎて、他の番号を選んでもおかしくはないが、杉内はあえて自分へハードルを課した。

 「背番号18が似合う投手になろう」と決めたのだという。巨人の歴史を考えた時、生え抜きでもない自分がつけてもいいものかという迷いもあった。しかし、杉内の中では「18を選ばなかったから、逃げていることになる」と、あえて重圧のある番号を背負い、いばらの道を突き進んでいくことを選択した。甘えをなくしたかったのだろう。その左腕は今年が正念場となりそうだ。

 サッカー日本代表の本田圭佑がイタリア・セリエAの名門、ACミランの背番号10を自ら直訴して背負ったのと同じで、「エース番号」を自ら選ぶ者もいる。そして、輝かしいナンバーを汚したくはないという思いは、プレーにも表れるものだ。各球団のエースナンバーのプライドをかけた戦いに、今季も注目したい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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