マー君成功の鍵を握る通訳の存在 “公募”で選ばれるパートナーの役割とは?
黒田、ダルビッシュを支えている二村氏
現在はダルビッシュ有の通訳を務める二村健次氏も貴重な役割を果たしてきた。2008年に黒田博樹がドジャースに入団してから、ヤンキース1年目の2012年まで通訳を担当。メジャー屈指の投手としての地位を確立するまで、公私両面でサポートを続けていた。カーロン氏と同様に温厚な人柄で、人望は厚い。
昨年からはダルビッシュの通訳に転向。スペイン語も堪能なことから、中南米系の選手が多いレンジャーズで存在感を発揮している。右腕もすぐに心を奪われたようで、絶大な信頼を寄せている。
昨年6月25日には、ダルビッシュと黒田との投げ合いが実現。黒田は6回2/3、ダルビッシュは5回1/3を3失点と、ともにまずまずの内容で勝敗はつかなかった。すると、ダルビッシュは試合後の会見の最後に「あと1つだけあるんですけど」と自ら切り出し、「試合中に僕と黒田さん、多分6対4くらいで二村さんは黒田さんを応援していたので、それが悲しかったです」と冗談交じりに話している。
信頼関係が出来上がっているからこそ言えたジョークで、ダルビッシュは半年ほどでその誠実な人柄に惚れ込んだようだ。奪三振王やサイ・ヤング賞投票2位など、飛躍の1年になった陰には、圧倒的な実力に加えて、二村氏のサポートも大きかった。
田中が公募で通訳を選ぶなら、全くの白紙からスタートすることになる。これまでにメジャーで通訳を務めた経験がない人物になる可能性が高いからだ。もちろん、野球の知識やハイレベルな英語力は必要だが、私生活でも時間を共にすることを考えれば、それよりも重要な要素は「人柄」となるだろう。田中の真っすぐな性格を考えれば、誠実であるかどうかはキーポイントになりそうだ。
松井氏にとってのカーロン氏と同じように、誰からも好かれるような通訳を公募で選出することが出来るのか。14日のキャンプインまでにはパートナーを決める必要があるだけに、残された時間は少ない。重要な決断を下すときが迫っている。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count