マー君の最初の“敵”は? メジャーにおけるキャンプから開幕までの流れとは
準備期間が短いときの問題点
今オフ、新たなポスティングが締結されるまでに日米の野球界が揺れに揺れたのは記憶に新しい。失効されていたシステムが紆余曲折を経て正式に締結されたのは12月17日と、当初の予定よりも2か月近くも遅れた。
さらに、譲渡金が上限2000万ドル(約21億円)に抑えられたことで、楽天が田中のポスティング申請を容認するまでにも時間がかかった。米球団との交渉が可能になったのは同26日。ヤンキースと合意したのは年を越した1月22日で、そこからビザの発給を待つことになった。
一方、松坂とダルビッシュの時にはポスティングシステムが失効していなかったため、オフに入ってからすぐに申請が可能だった。松坂が独占交渉権を獲得したレッドソックスと合意したのは12月14日で、申請が12月上旬までずれ込んだダルビッシュもレンジャーズ入団は1月18日に決定している。その後、2人ともロサンゼルスで自主トレを行ってからキャンプ地に入った。
引っ越し作業などの準備期間が必要なことを考えると、現状で田中の渡米は今週末以降が有力視されている。となると、ヤンキースのバッテリー組集合日となる14日までには、1週間を切っている可能性が高い。その間にはニューヨークでの入団会見も入る見込みだ。
松坂のキャンプインは2月18日と、渡米してから約1か月の余裕があった。一方、ダルビッシュとは大差がないようにも見えるが、2012年のレンジャーズのバッテリー組のキャンプインは2月23日と、渡米してから約2週間後だ。2人と比べ、田中の準備期間がいかに短いかが分かる。渡米から1週間以上の間隔がなければ、時差ボケが残っている可能性も高いだろう。ロサンゼルスで自主トレを行ってからフロリダのキャンプ地に入った松坂は、時差で約3時間早まっただけで「体が重い」と漏らしていた。14時間の時差と戦う田中は、当初はコンディション調整に苦しむかもしれない。