メジャーリーグ・キャンプの練習時間が短い3つの理由
田中がグラウンドに姿を見せていた時間はわずか40分
メジャーリーグではバッテリー組がフロリダ州、アリゾナ州でキャンプをスタートさせた。日本より2週間ほど遅い始動で、練習時間が短いのが特徴である。特に投手の全体練習時間は短く、15日にフロリダ州タンパでキャンプインしたヤンキースの田中将大投手は、グラウンドに姿を見せていた時間はたった40分。3時間ほどで練習を終えた。日本ならば午前9時頃から夕方5時まで、1日8時間。夜間練習を入れれば10時間近く練習するチームもある。
メジャーはキャンプに限らず、シーズン中の試合前の練習も日本のプロ野球より格段に短い。どちらが良いのか、それぞれの根付いた文化があるため、一概には断定できない。ここでは、なぜアメリカの練習が短いのか、理由を挙げてみたい。
【1.意識の違い】
結果を出さなければ生き残れないのは、どの世界も同じこと。アメリカの場合、ミーティングを含む全体での練習は短いが、個人練習の時間が長い。つまり、個々が自分で考えて練習をするという放任主義の世界なのだ。自分自身で何が足りないのかを考えて、朝からバットを振る選手。ウエイトトレーニングが必要な個所もそれぞれ違うため、個人練習の中で行う。「やらせる」練習の意識が強い日本の野球とは練習時間は自然と異なってくる。データの確認に関しても、球団側から個人のパソコンや携帯端末に映像などの資料が送られてくるため、それを自室でチェックする。足りない選手は動画サイトなどで見に行く選手もいる。
メジャーは日本よりスタートが遅いが、選手たちは別にゆっくりしているわけではない。選手は個人でトレーニングを一任されているという意識があるため、体を仕上げてきている。主に全体練習で行われるのは、連係プレーにおける選手間の呼吸を合わせることや新戦力をチームに馴染ませるためのコミュニケーションを図ること、また、現時点での選手の力をコーチが確認するということなどだ。それらにそう長い時間は必要ない。
ヤンキースキャンプに参加している田中も、キャッチボールをして、流れるようにブルペンへ移った。球数制限があるため、日本のように100、200球と投げることはない。30球程度で全員が終えていた。そのため時間も短い。エースのサバシアや黒田ら主力のベテランは、ブルペン後の投内連係を終えた後、トレーニングルームにこもり、汗を流していた。すでに試合に耐えうる体もできつつある。