“師匠・新庄”に重なる姿 森本稀哲が新天地で見せる新たな一面

「ここが墓場。ライオンズのためにやる」

 誇り高きパフォーマーだ。森本稀哲外野手(33)は、昨年オフにDeNAから戦力外通告を受け、テストを経て西武に入団。今季プロ16年目を迎え、新たな境地を開こうとしている。

 森本と言えば、明るい性格とスキンヘッドの風貌を生かした珍パフォーマンスで知られている。日本ハム時代は新庄剛志とともに「ゴレンジャー」のかぶり物で沸かせ、オールスターではアニメキャラクターのピッコロ大魔王に変身。FAで横浜(現DeNA)に移籍した際も、中華街にちなんでラーメンマンに仮装し、「劇団ひちょり」を印象付けてきた。

 くしくも西武ではムードメーカーだった片岡がFAで巨人に移籍。居郷球団社長も「大いに盛り上げてほしい」と森本の芸達者ぶりに期待する。しかし、いざ常勝軍団に加わると、これまでとひと味違う雰囲気を醸し出した。

「行き着くところまで来た。ここが墓場。ライオンズのためにやる」

 宮崎・南郷キャンプではユニークな言動よりも、若手に交じって早出トレーニングに汗を流し、初めて本格的な一塁守備に取り組むなど、チームへの献身的な姿勢が強く伝わってきた。

 その表情は、どこか師匠と重なる。日本ハムの球団関係者は「新庄がパフォーマンスをするときは、誰よりも早く球場に来て、衣装をチェックしたり、鏡の前でポーズを確認したり、入念に準備していた」と語る。さらに試合では、「パフォーマンスをやるからには絶対、打つ」と有言実行の活躍を見せていたという。

 伊原監督の構想では、森本は右翼と一塁のスーパーサブを見込まれるが、本人は「レギュラーを取ることしか考えていない」と言い切る。グラウンドで魅せるプレーこそ、一番のファンサービス。それを誰よりも理解している。

 新庄のように、プロ野球人生のクライマックスに向かっていく上でのパフォーマンスは、周囲だけでなく、自らを鼓舞することにもつながるだろう。円熟味を増した「森本レオ」の新ドラマから、目が離せない。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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