カブレラやマー君は大丈夫? メジャーで相次ぐ大型契約とその後に見られる不振傾向への懸念
大型契約を結んだ選手が活躍できない傾向
さて、開幕したばかりの選手の出鼻をくじくつもりはないが、最近の傾向として、長期&大型契約を結んだ選手は、結んだ直後の数年はあまり活躍できない傾向にある。
例えば、エンゼルスと10年契約を結んだアルバート・プホルスは、移籍したその年から本来の力を発揮できず。度重なる怪我も災いし、周囲が期待するほどの数字は残せていない。同様に、昨季エンゼルスと5年契約を結んだジョシュ・ハミルトンも本領発揮できず、本塁打数は前年の43本から21本に急降下した。ツインズのジョー・マウアーは2010年に翌年からの8年契約を結び、その年こそ3割以上の打率を残したが、2011年からは怪我に祟られ、結局は捕手から一塁手にコンバートすることになった。
こういった例の数々が、大型契約を結んだことをきっかけに起きたか否かは定かではない。ただし、長期契約で立場が保証されることで、選手としてより長期的なビジョンが持てるため、以前ならば多少我慢をしてでも試合に出場したような怪我や故障でも、無理をしないで大事を取る傾向はあるような気がする。
もちろん、長い目で見れば、チームのためにもなることだが、いかんせん、スポーツファンは気が短い。大型契約を結んだ選手には、すぐさまその年俸に見合った働きをしてほしいと願っている。そのファンを満足させる、あるいは期待を超えるような活躍をする選手は、なかなか見つけるのが難しい。
今季はカブレラ、トラウトはもちろんだが、ヤンキース田中将大も大型契約の筆頭に名を連ねる。果たして、彼らがファンの期待に応えるような活躍を続けられるのか、そして、彼らのパフォーマンスに対し、ファンやメディアがどんな反応を示すのか。その全体像を一歩引いた立ち位置から眺めてみると、また違った角度からメジャーリーグを楽しむことができるかもしれない。
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佐藤直子●文 text by Naoko Sato
群馬県出身。横浜国立大学教育学部卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーとなり渡米。以来、メジャーリーグを中心に取材活動を続ける。2006年から日刊スポーツ通信員。その他、趣味がこうじてプロレス関連の翻訳にも携わる。翻訳書に「リック・フレアー自伝 トゥー・ビー・ザ・マン」、「ストーンコールド・トゥルース」(ともにエンターブレイン)などがある。