不調の黒田博樹に気になるデータが浮上 投球間隔の長さは改善できるか

変化球のキレが戻るまで我慢強くやるしかない

 本人が「生命線」と表現する強烈なシンカーが投球の軸であることは間違いない。だが、昨年はスライダーとスプリットがウィニングショットとして大きな役割を果たしていた。この2球種の状態が上がってこない中、決め球の選択に慎重になるのも無理はない。この日、先制点となった2回のコンガーの二塁打のように、結果として追い込んでから打たれるヒットも増えている。

 また、新加入の捕手ブライアン・マッキャンとの呼吸も、やや気になるところだ。ここまでの登板を見ていると、決して息が合っているようには見えない。その証拠に、マッキャンがマウンドまで行き、意思疎通を図るという場面が多くみられる。そしてサインが合わなければ、投球間隔は当然、長くなる。

 ただ、黒田とマッキャンがコンビを組むのは今年が初めてだ。まだ呼吸が合わなくても無理はない。実戦での登板を重ね、さらに登板間に話し合いを続けることで、リズムも上がっていく可能性はある。

 もちろん、投球間隔が結果の善し悪しを左右する要素だとは言い切れない。ここまで好調の田中将大もメジャー全体で下から11番目の24・3秒と決してリズムがいい方ではない。黒田と同じように今年初めてコンビを組むマッキャンのサインに首を振ることも少なくない。それでも、持ち味を発揮している。

 いずれにせよ、まずは変化球のキレが上がってこなければ話は始まらない。黒田は「その1球で感覚的に戻ることもありますし、変化球にしても1球でいいときの投げ方というか、軌道も含めて戻ってくることもあるので、それは我慢強くやるしかない」と言う。

 黒田の衰えを指摘するのはまだ早い。きっかけさえつかめば、決め球の選択肢が増えるなど投球の幅が広がり、リズムも上がってくるはずだ。今はまだ、我慢の時なのだと信じたい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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