“2人のデービッド”の和解は困難か オルティスとプライスの「全面戦争」に見る世代間の違い
世代の違いが感じられる2人のデービッド
5月30日に行われたレッドソックス対レイズは、現場で雰囲気を味わいたかった、と思わせる一戦だった。
レイズ先発デービッド・プライスが、レッドソックス主砲デービッド・オルティスにデッドボールを当てたことに端を発し、監督、コーチ、選手を含む4人が次々と退場処分に。結局は、延長10回の末にレッドソックスがサヨナラ勝ちしたわけだが、試合後、そして翌日のインタビュー映像を見ると、2人のデービッドの間には“世代の違い”があるように思えた。
そもそも両軍、いや両者の遺恨は、昨季のア・リーグ地区シリーズ第2戦に根差している。その試合でオルティスに2本塁打を浴びたプライスは、2本目を打った後でオルティスが立ち止まり、「どうだ」とばかりに打球の行方を見守っていたのが癪に障る、と試合後にコメント。だが、実は右翼線ギリギリのところへ飛んでいった打球がファウルにならないかどうか、オルティスはその行方を見守っていただけだった。
後日、2人は電話で直接話し、プライスがオルティスに対して自分の勘違いを謝罪。すべては一件落着かと思われた。が、今季初対戦となった打席の結果は、意図的なデッドボールだった。
打席に立っている打者に言わせると、デッドボールが意図的か偶発的かは、すぐに分かるという。ピッチャーの目は嘘をつけず、投げる目標とする場所=打者を見るため、目が合うのだそうだ。
今回の場合は、球審も意図的であると判断し、その場で両軍に警告を発したわけだが、抗議に出たレッドソックスのファレル監督は退場。そのままマウンドに残ったプライスは、4回にもカープに死球を当て、今度は両軍総出となる乱闘となった。
しかし、警告試合になっていたにも関わらず、審判団は死球は偶発的だったと判断し、プライスを退場させず。逆に、この判断に怒ったレッドソックスの監督代行ルブロ・ベンチコーチが退場となり、さらに、6回には、レイズ3番ロンゴリアの背中後ろにボールを投げたワークマンと、この夜2人目の監督代行だったバターフィールド三塁コーチが即時退場処分となった。