【山本一郎コラム】サッカーファンのお前ら、ベイスやヤクルト、アストロズ見て落ち着けよ
暗黒を抱きしめられるようなファンでありたいものですね
ツイッターでも炎上していたようです。分かるわー、その気持ち。
日本代表、グループリーグ敗退が決まる→大炎上「日本の恥」「帰国してすぐ土下座しろ」「睡眠時間返せ」
http://matome.naver.jp/odai/2140365606085890801
まあ、それだけ期待させられて、その膨れ上がった期待を裏切られたぞって話なんでしょうけどね。
そこはですね、やはりスポーツを応援する側の精神衛生を保つコツとして、ベイスやヤクルト、あるいは暗黒時代の阪神に南海ホークスを見てきた私として、言えることはただひとつ、平常心ですわ。
いいですか。古田ヤクルト時代にもいい選手はたくさんいました。でも最下位。個人成績は真中の代打安打記録とかグライシンガーの最多勝とか青木の首位打者とかガイエルの魔空間とか、見所はたくさんあったわけじゃないですか。
チームとしてもちろん頑張って欲しいけど、勝負事なんだから、負けて当然勝って狂喜っていうスタンスでいかないと、お前ら観戦しててメンタル持ちませんよ、弱いんですから。
いまのヤクルトだってね、王貞治の年間ホームラン記録を大きく塗り替えたホームラン王バレンティンが故障で空いた四番に座ったの、飯原ですよ。確かに偉大な選手です、バレンティンは。戦列を離れた穴なんて埋まるはずがない、その開いたでっかい穴に入ったのが飯原です。
「頑張って」としか言えないじゃないですか。
日本代表が最後に一縷の望みを託したとされるコロンビア戦での奇跡と、確率的にはほぼ同規模の辛い現実が、スワローズで日々起きているのです。
大リーグに目を向ければ、昨年空前の敗北ぶりで絶望のどん底にあったヒューストンも、万年再建年と揶揄されながら今年は何と西地区で勝率4割台まで登ってきています。
やればできるじゃんアストロズ。
一定のルール下でやる勝負事なんだから、然るべき戦略を立ててリソース配分をすれば、そこそこやれるようになるのは当然なんですよね。故障以外。そういうこともちゃんと考えて、サッカー関係者もマスコミも熱狂した日本人も、地に足を付けた議論が必要なんじゃないですか。サッカー全然分からないけど。
それでも暗黒というのはいいものです。ちょっとした良いことがあると、試合の勝ち負けに関係なく嬉しい気分になれるのが暗黒スキーの醍醐味じゃないですか。
暗黒を抱きしめられるようなファンでありたいものですね。
【了】
山本一郎●文 text by Ichiro Yamamoto
ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。1973年、東京都生まれ。
著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。