過去10年でリーグ優勝6度&日本一3度 原辰徳監督が見せる「昇格、即スタメン」の手腕とリーダーシップ

選手時代から見られた強いリーダーシップ

 原監督がしっかりと選手を使いこなせるのは、そもそもそのような素養を備えていたからだと松本氏は見ている。

「彼は現役時代から、みんなを引っ張っていくような面を持ち合わせていた。自分が上に立って色んな選手を教えたり、引っ張っていったりしていましたから」

 松本氏が振り返るのは原監督のルーキー時代だ。

 原監督よりも4歳年上の松本氏は、東海大相模高、東海大と輝かしい実績を積み上げて入団してきた後輩とベロビーチのキャンプで同部屋だった。原監督は当時、ルーキーだったにも関わらず、その振る舞いは堂々としていて自信に満ち溢れていた。その姿を見て、松本氏は「何か持っている男だ」と感じたという。

 その印象に違わず、原監督は早い段階から積極的にチームの先頭に立った。自身、巨人の4番という重圧に耐えながら、若手を食事に連れて行き、積極的に周囲とコミュニケーションを取っていた。

「そういうことを現役時代からやってきたから、監督になっても色々な選手を使いこなせるわけですよ。自分自身も重圧に耐えてきた。だから、その選手の感情とか性格とか見抜いて、使えないと思ったらパッと切り替えるというのができる。そうやって一度切った選手でも、下でがんばってきたらまた使う。その辺がすごくうまい。絶対に見放さないですから」

 松本氏はそう話す。1軍に上がった選手が起用され、結果を出せば、2軍の士気が上がる。下からの突き上げがあることでベテランや中堅の選手たちにも刺激が生まれ、チーム全体に競争意識が芽生える。そして、それらの戦力を使いこなせる指揮官がいるからこそ、組織としても強さを発揮できる。

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