今はまだ本来のスタイルは“封印” 藤川球児が思い描く復活ロード

「自分のやるべきこと」を冷静に見極められる藤川

 カブス藤川球児がメジャーの舞台に戻ってきた。昨年5月26日以来、437日ぶりにメジャーのマウンドに上がった8月6日ロッキーズ戦は、1回を無安打無失点1死球。無死満塁から併殺崩れで1点を失った(自責0)が、わずか10球で3アウトを奪うテンポのよさで上々の復活を飾った……。

 が、それはあくまで周囲の見方であって、藤川自身はこの日を「完全通過点ですよ」と位置づけ、感慨を問われても「ないです。まったくないですね」と、そこにセンチメンタルな感情を持ち込むつもりは一切ない。

 藤川の特長でもあり強みであるのが、大きな流れの中で自分の立ち位置がどこにあるのかを、過大評価することなく過小評価することなく、冷静な目で判断できることだ。

 この日のメジャー復帰は、個人の立場から見れば「現実問題スタート」だということは分かっている。だが、メジャー全体やカブスというチームの流れを考えれば、シーズンは佳境に差し掛かり残すところ50試合弱。1人だけ開幕気分でいては、周りと温度差が生まれる。だからこそ「自分としてもその状態(残り50試合の状態)でいることの方が、ゲームの流れだとか自分のやるべきことが見えてくる」という思考回路になるのだ。

 メジャーの舞台に戻ってきたからには、勝つためのピッチング、結果を出せるピッチングをしなければならない。そのためには何が必要かと言えば、自分の体の状態を過不足なく把握できる目だ。

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