準優勝の三重はなぜ強かったのか 選手たちを変えた5つのポイント

選手が「どうしたら僕はメンバーに入れますか?」と質問できる環境

【3】選手起用の巧さ

 三重中京大時代で監督をしていた中村監督のモットーは「全員で戦うこと」。選手と話をしなければ何も始まらないと、練習に率先して参加していた。打撃投手をして選手の調子をみたり、一緒にランニングをした。監督自身が選手に対してマッサージをすることで気持ちも体もリラックスするようになり、監督と選手の間に壁はなくなった。

 練習後に監督のもとにマッサージをしてほしいと選手たちが列を作ることもあったという。また、三重は選手が監督に積極的に質問をするチームだった。「どうしたら、僕はメンバーに入れますか?」とストレートな質問をしてくる生徒にもいて、監督は現状の力を踏まえてアドバイスをした。その結果、就任前の秋の公式戦メンバーには選ばれていない選手が甲子園で4選手もベンチ入りした。

 準決勝の日本文理戦では3回の守備で、負傷している内田蓮に代わり、2年の山井達也を起用。山井は甲子園初出場が準決勝という大舞台だった。試合に出ていなくても監督が「出番はあるから用意しとけ」とずっと声をかけていた選手の一人。山井はプロ注目の飯塚悟史からダメ押しのホームランを放つなど活躍した。

 決勝戦でもずっと打撃不振だった稲葉隆也を5番に起用。不振のためにスタメンから外していたが、大阪桐蔭戦の前に打撃のアドバイスをすると、いきなり2塁打を放つなど復活。本来の力を取り戻した。当たる起用は選手とのコミュニケーションにあったといっていい。

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