地元メディアからも「来季も残すべき」との声が上がり始めた和田毅 ベテラン左腕の好投を支えるものとは
若手が話題の中心のカブスで注目を集め始めたベテラン和田
今季もナ・リーグ中地区最下位の道を歩んでいるカブスだが、来季以降に向けて楽しみな若手選手が数多く育っている。
例えば、二遊間を守るハビアー・バエス。プエルトリコ出身の21歳は、2011年のドラフト1巡指名(全体9位)の有望株で8月5日に待望のメジャーデビューを果たした。以来、まだ1カ月も経っていないが、8月25日現在、見ている方が気持ちよくなるくらい豪快なスイングで7本塁打を記録。打率は2割7厘と奮わないが、二遊間で見せる守備も前評判通りで、シカゴのメディアやファンが「バエス待望論」と唱え続けていた理由がうかがえる。
投手ならば、右腕カイル・ヘンドリックス。2012年にライアン・デンプスターと交換でレンジャースからトレード移籍してきた24歳は、同じく今季メジャーデビューを果たした。これまで8試合で先発し、5勝1敗、防御率1・78。対戦打率は2割1分7厘と低く、1イニングあたりの被安打数+与四球数を示すWHIPは1・01となっている。
初対戦の場合は投手が有利であるという事情を割り引いて考えてみても、これだけの安定感はさすがだ。真価が問われるのは、1年を通じて先発ローテーションに入るであろう来季だが、やはりレンジャースのダニエルズGMが「手放したくなかった投手」と公言するだけの能力は確実に潜んでいるようだ。
2011年10月にカブス球団社長に就任したセオ・エプスタイン氏とジェド・ホイヤーGMは、当初「2015年に勝てるチーム作りを目指す。ファンには少しの間だけ我慢してもらいたい」と公約を掲げ、100年以上もワールドシリーズ優勝と縁のないチームの大改革に乗り出した。
今年1月に行われたファン感謝イベントで、目標の年を2015年から2016年に下方修正したが、カブスのファンは次々と放出したベテラン選手の代償として獲得した若手有望株たちが花開くのを待った。その我慢がようやく実を結ぼうとしている。もちろん、地元メディアをにぎわすのは若手選手の話題ばかりだが、その中でにわかに注目を集め始めたベテランがいる。33歳、和田毅だ。
日本では通算107勝を挙げた実力者だが、メジャーではその実力を証明しきれずにいた。ご存じの通り、2012年にオリオールズと2年契+3年目は球団オプションという契約を結んで海を渡ったわけだが、メジャーデビューを果たす前に、左肘靭帯の損傷が見つかったため修復手術に踏み切った。
結局、オリオールズとの契約期間だった2年間はリハビリ生活とマイナーで終え、結果としては何も残すことができず終い。オリオールズは球団オプションを行使せず、フリーエージェント(FA)となった和田をマイナー契約(メジャーキャンプ招待付き)で迎え入れたのがカブスだった。