田中将大復帰までの軌跡 75日ぶりのメジャーマウンドへ

7月8日の登板を最後にリハビリを続けてきた田中

 右肘靱帯部分断裂で離脱していたヤンキース・田中将大投手のメジャー復帰戦が、21日(日本時間22日)にヤンキースタジアムで行われるブルージェイズ戦に決まった。負傷した7月8日のインディアンス戦以来75日ぶりのマウンドで、70~75球をメドに登板する予定だ。

 復帰までの道のりは、決して平坦ではなかった。

 7月8日、今季18試合目の登板となったインディアンス戦で、田中は4敗目を喫した。メジャー自己最多の10安打5失点。「球の走りとかは前回(同3日・ツインズ戦、7回9安打4失点も12勝目)よりもよかったと思いますし、全てが全て悪いっていうわけではない」と話したが、試合後に首脳陣に対して右肘の異常を訴えた。

 翌9日にはチームを離れてニューヨークに戻り、精密検査を受けた。チームは右肘炎症での故障者リスト(DL)入りを発表。さらに、田中は10日にはチームドクターのいるシアトルまで移動し、診察を受けた。

 チームは右肘内側側副靱帯の部分断裂と発表。ただ、3人の医師からは「手術の必要はない」と診断され、復帰まで1年以上を要する靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)ではなく、PRPと呼ばれる再生療法で復帰を目指すことが決まった。

 田中は14日にPRP療法の一環として、自らの血液から摘出した多血小板血漿(けっしょう)を患部に注射。約3週間はノースローでの調整となる。18日にはチームに合流したため、負傷後初めて報道陣の前に姿を現す形に。「なってしまったものはしょうがない。自分に出来ることをやっていって、またマウンドに戻れるようにリハビリ、治療をしっかりやっていく」と決意を明かした。

 8月4日にキャッチボールを再開。ウォーミングアップを含めて全50球を投げた。最長20メートルに達してからは25球。痛みや違和感を訴えることはなく「1つステップアップができてホッとしている。これからどんどん投げる距離、投げる強度も上がっていくと思いますけど、まずは第一歩かなと思います」と手応えを示す。

 その後も順調にリハビリを続けた。13日に初めて相手を座らせて投球練習。16日には初めてブルペン入りした。直球のみで25球を投げ「まあまあ良かったと思います。順調に進んでいると思います」と笑顔を見せる。

 18日には初めて変化球を交えてキャッチボール。20日にはブルペンでも変化球を投げた。速球系のツーシーム、カットボールに加え、カーブ、スライダー、スプリットを交えて35球。チェンジアップ以外の持ち球を全て試した。「肘を怖がりながら投げているとか、そういうことはない」。1つ1つ、着実にステップアップしていった。

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