「日本球界にとって“レジェンド”」 松井稼頭央が打撃で驚異の復活劇を見せる理由とは?

39歳で打撃の輝きを取り戻している

 2011年に楽天と契約し日本プロ野球に復帰した松井は、メジャーで培った順応性、そして積み重ねてきた経験を生かし、遺憾なく力を発揮した。

 打撃こそ往年の力強さが失われていたが、ショートの守備では見事なプレーを連発。また、チームリーダーとして苦しい戦いの続く楽天を引っ張り、昨年はチーム日本人トップの11本塁打。楽天のリーグ優勝、日本シリーズ制覇に大きな貢献を果たした。

 そして2014年、10月で39歳になる松井が、打撃に輝きを取り戻している。

 9月18日の段階で、打率.293、6本塁打を記録。楽天加入後の平均打率が.258だということ、そして年齢を考えれば、驚異的とも言える復活劇だ。8月には打率.380、4本塁打、15打点の成績で月間MVPにも輝いた。

 なぜ今季の松井は好調な打撃を取り戻すことができたのだろうか。スポーツコメンテーターの飯田哲也氏は、守備の負担軽減こそ、その理由になっていると語る。

「ここまで来たら、技術ではない」

「松井が好調を維持できているのは、間違いなく守備の負担が減ったことに要因があります。サードやDHで試合に出るのと、ショートで出るのとでは体の疲れ方がまったく違います。そもそも、39歳でショートを守っていること自体が驚異的なことなんですけどね。

 今季はチームも『ベテラン・松井』の使い方を熟慮し、上手く休ませながら起用していると思います。本人もそれで助かっている部分はかなりあると思います。ヤクルトの宮本も、晩年にサードへポジションを移してからは“体が楽になった”と話していました。

 外野を守ることもありましたが、外野は打球が飛んでくる頻度こそ少ないものの、全力疾走で結構な距離を走りますし、カバーリングでも走る距離が長くなります。外野をやれば負担が減ると言われることもありますが、そう簡単な話ではありません」

 8月24日には日米通算2500安打を達成、日本単独での2000本安打にもあと100本を切った。不惑を間近に、輝きを増してきている松井に対し、飯田氏はエールを送る。

「ここまで来たら、技術ではないです。とにかく、疲労の蓄積を防いで、体のキレを保ち続けることが重要になります。松井は日本球界にとって“レジェンド”ですし、この成績は十分、第一線で働けることを証明していると思います。一年でも長く、その素晴らしいプレーを見せ続けて欲しいですね」

【了】

飯田哲也プロフィール

スポーツコメンテーター。1968年東京都出身。1987年に捕手としてヤクルトスワローズに入団、主に外野手としてヤクルトの1番バッターを長く務めた。2005年からは2年間楽天イーグルスに在籍。2006年に現役を引退すると、古巣ヤクルトで2013年まで守備・走塁コーチを務めた。
飯田哲也オフィシャルブログ

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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