中日、一時代の終わり 引退を決めた名リリーバーたちの功績
中日は「名脇役」の穴をどう埋めていくのか
中日の三瀬幸司、小林正人、鈴木義広の3投手が今季限りでの現役引退を表明した。ここまで34歳の小林が1試合、38歳の三瀬と31歳の鈴木は登板なし。10月1日のナゴヤDでのDeNA戦が引退登板となるが、いずれも落合博満GMが監督を務めた時代、中日の常勝を支えた名リリーバーだ。1つの時代の終わりを感じさせるニュースだった。
2002年のドラフト6順目で入団した小林は3年目のオフ、森繁和ヘッドコーチのアドバイスでサイドスローに転向した。かつて西武で「左殺し」の異名を取った永射保の投球フォームを動画で研究。左のワンポイントとしての地位を確立し、2011年には58試合で5勝0敗、防御率0・87とキャリアハイの活躍で リーグ連覇に貢献した。人望も厚く、吉見一起が選手会長を務めた12、13年には年長者にも関わらず、相談役として入閣を求められた。
名をはせたのは“阿部キラー”としてだろう。巨人・阿部慎之助に「顔を見るのも嫌だった」と言わしめたほどの抜群の相性を誇り、通算で27打数4安打、打率1割4分8厘、被本塁打0に抑え込んだ。試合を左右する局面で阿部を迎えれば、ベンチは迷いなく小林を送り出した。3連戦3連投、そのすべてが阿部へのワンポイントというシーズンもあったほど、起用は徹底していた。
三瀬は04年にドラフト7位でダイエー(現ソフトバンク)に入団した。27歳での遅咲きのプロ入りだったが、1年目から抑えを任され、28セーブで最優秀救援投手と新人王、城島健司とともに最優秀バッテリー賞も受賞した。中日には出場機会が激減していた10年途中にトレードで移籍。翌年には44試合に登板と復活を果たし、優勝の貴重な戦力となった。
04年ドラフト5位の鈴木は右横手からのスライダー、シュートで揺さぶる投球で、1年目から接戦での登板やロングリリーフとしてもフル回転した。「スーさん」の愛称で親しまれ、07年の日本ハムとの日本シリーズでは第4戦で勝利投手にもなった。
3人合わせての登板数は865試合にも上る。エースや守護神、セットアッパーのように脚光を浴びる存在ではない。それでも縁の下の力持ちとして、勝利のために黙々と腕を振ってきた名脇役の穴をどう埋め、代わる存在を作り上げていくのか。来季2年目を迎える谷繁選手兼任監督の1つの課題となりそうだ。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count