投手から野手転向 開花した糸井、雄平の才能に続くのは誰
今年、芽を出し始めた西武・木村
高井も糸井も、アマチュア時代から150キロを投げ、打撃や走塁に定評があった。投手の限界を感じ、指導者やフロントの進言もあり、転向。勧めた側は「身体能力が高い」と成功する可能性を高く感じていた。ともに20代後半に転機を迎えている。そして「もうこれでだめなら野球をやめる」と退路を断っていた。
「身体能力が高い」「投手の時は荒れ球、コントロールが悪い」「打撃センスがあった」「20代後半で退路を断って、転向」「入団時からフロントの期待は高かった」など、同じ条件で見ると、あと2~3年後、もしかしたら、彼らのように開花する可能性のある選手が今年、現れた。2006年西武のドラフト1位で入団した木村文紀外野手(26)だ。
2012年9月に投手から野手に転向。球団関係者は「糸井のようになれるかもしれない」と身体能力の高さにほれ込んでいた。埼玉栄高校時代は150キロの速球を投げながら、33本塁打と打撃力も光っていた。当時の西武・渡辺久信監督が現役時代につけていた背番号41を授かり、船出した。2007年の1軍初登板は制球定まらず、6回10安打4四死球7失点と散々。2011年に初勝利を挙げたが、その後は腰痛に悩まされ、投手を断念。プロ1勝で終わった。背番号も51となり、野手転向を決断した。
木村は糸井を徹底的に動画サイトなどで研究し、毎日2000スイング近い素振りを繰り返した。高井や糸井のように他の野手より練習をしてきた。今年は開幕1軍とスタメンを勝ち取った。1、2軍を行き来したが、100試合に出場。打率は2割1分5厘と低かったが、本塁打は10本と2桁をマーク。まだまだ修正ポイントがたくさんあるため、すぐに球界を代表する選手になることは難しいが、高井が12年目で開花したように、じっくりと機が熟すのを待ちたい。
投手から野手に転向し、成功した選手は多い。あまり知られていないが、今回、戦力外を受けた投手の中にも野手顔負けの打撃センスを持つ選手がいる。最近、伸び悩む若手投手の中にも、甲子園を打撃で沸かせた選手もいる。成功するかどうかはすべてはタイミング。あとは自ら退路を断って、腹をくくって練習できるかどうか。また、糸井、高井が目覚めたように、あきらめずに野球を続け、自分の可能性を信じられるか。次なる才能の開花を期待したい。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count