2人のドラフト1位、横山雄哉と野村亮介が侍21U代表で見せた可能性

2投手が見せた適応能力の高さと今後の課題

 ボールの扱いに対しても、適応能力の高さを見せた。21Uの大会は、日本製のミズノの公式球を使用。プロの選手は日頃から使用しているため、何の問題はないのだが、社会人・大学生の選手たちにとっては、初めて使用するボール。同じように見えても、アマチュア選手たちにとっては投げた感覚、打った感覚に「違い」が出ていた。

 あるアマチュア投手は「ボールが滑る感じがする」「スライダーが曲がりやすい」。アマチュアの打者では「打った瞬間が打感が重いなと思った」と良くも悪くも違いがあった。

 しかし、横山や野村は何の問題も感じずにボールを投げ込んでいた。むしろ指のかかりがよく、横山は直球が走っていた。野村もスライダー、フォークにキレ味があった。2人とも指名を受けた後に同じボールを投げていたということもなく、今大会でうまく対応した形で、どんな状況でも力を発揮できることは今後の強みになっていくだろう。

 ただ反面で、2人には課題も残った。決勝戦の台湾戦ではともにリリーフ登板し、横山は自分のエラーなどで2失点。それまで安定していた野村も1イニングを5安打2失点と精彩を欠いた。

 頂上決戦という緊張感、アウェーの雰囲気、負けていてもう1点もやれないというプレッシャーから指先に狂いが生じていた。先発の楽天・森が2回途中3失点KOとなり、リリーフ陣は何とかゲームを作ろうとしたが、初戦のオーストラリア戦のようにはいかなかった。負けはしたが、貴重な経験になったはずだ。

 彼らのポテンシャルが高いのは今大会を通じて見ることができた。来年からプロに入り、シーズンを通して、まだまだ伸びしろのある技術やメンタルを磨くことになる。最後に悔しさを残した台湾での戦い。国際大会の悔しさは国際大会で晴らしてもらいたい。彼らが、侍のトップチームに選ばれるピッチャーになれる日を楽しみに待っていたい。

【了】

フルカウント編集部●文 text by Full-Count

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