人的補償で飛び交う情報戦 ヤクルトの狙いはやはり「投手」?
ヤクルトが狙っているのは投手か
理由はヤクルトには上田や比屋根ら同じタイプの選手がいるということ。同じような選手が増えてはせっかくの権利なのにもったいないと獲得に積極的ではない。同じタイプであれば、枚数が何枚あってもいい「投手」を選ぶべきという意見も無視できない。
昨年は広島から大竹寛の人的補償で移籍した元巨人の一岡竜司が広島の主力投手になった。当初は中継ぎの1枚という認識だったが、結果を残し続け、セットアッパーの地位を確立した。巨人は現状、先発投手に好素材は少ないが、リリーフに限れば、チャンスがあれば結果を出せる、安定感のある投手が多い。攻撃力のあるヤクルトにとって、野手の補強より、リリーフ陣の強化が必要という見方が強い。
チーム防御率は12球団最低の「4・62」、失点「717」も断トツのワースト。被安打、被本塁打数も同様とあり、投手整備が急務。ドラフトでも投手中心に指名した。真中監督も就任会見で「投手力が他球団より劣っている」と投手陣の強化を今後の課題に挙げていた。
真中監督の外野手熱望発言の真意は定かではない。だが、人的補償は情報戦。リストを渡す側は「高額選手は獲られない」と相手球団の経営状況を見て、わざと年俸の高い選手を外す(年俸は旧球団の更改分を払わなくてはならないため)こともできる。ヤクルトは、いい外野手を獲りにいくと見せかけ、プロテクトに入れるように仕向けて、実は欲しい投手がプロテクトから外れることを狙っているのかもしれない。
昨オフの広島のフロントも1億円以上の高額年俸選手も「獲得対象にする」と明言したが、最終的に獲得したのは1050万円の一岡だった。そのほかにも人的補償では最初の狙いのポジションと違う選手が選ばれたこともある。リストが届いてから最終的な選択になるが、果たしてヤクルトはどんな決断をするのだろうか。(金額は推定)
【了】
フルカウント編集部●文 text by Full-Count