広島復帰の黒田博樹にLA地元紙も惜別コラム 「数々の思い出に感謝」
「トラブルを起こさないことから、完璧なモデル」
打撃陣から援護を受けられず、見殺しにされてきた黒田の悲運をこう振り返っている。その理由には、苦しいチーム状況もあったという。記事では、その当時のドジャースが破産状態にあったことを説明。しかし、シーズン途中に強豪からのトレードのオファーが舞い込んだ時、黒田はチームへの忠誠心からトレード拒否条項を行使したことにも触れている。
現在はヤンキースをしのぎ、メジャー最高の人件費を支払う金満球団と化したドジャースだが、黒田在籍の終盤は経営状態が悪化。NBAの元スーパースター、マジック・ジョンソンの参画した投資グループが買収するまでは、チームは危機的状況にあった。それでも、黒田は他球団でプレーオフ進出を目指すことなく、男気で当時は沈没船状態だったドジャースに踏みとどまった。
そして、黒田はそのシーズンのオフにFAとなり、ヤンキースに移籍。メジャー随一の名門球団でも、安定感抜群の投球が変わることはなかった。その姿を、ロサンゼルスの人々も誇らしげに思っていたのかもしれない。
「30歳の終盤にもかかわらず、ニューヨークでも彼は同じピッチャーだった。彼はヤンキースの3年間で38勝33敗、WHIP1.16、防御率3.44という、ほとんどドジャース時代と見分けのつかない成績を残した。彼は安定したピッチャーだった。(メジーでのキャリア)序盤の負傷にもかかわらず、最後の5年間は平均32試合に登板した。安定感、堅実さ、依存度、トラブルを起こさないことから、完璧なモデルだった。むしろチームの方がより被害を与えた」
こう絶賛しており、記事では黒田のメジャー移籍を「完全な成功」と断言する
「彼はラスティ・ライアルのピッチャー返しを頭に受ける恐怖を乗り越え、ドジャーズでいいピッチングを続け、メジャーの7年間で8800万ドル(約106億円)以上を稼いだ。短期滞在としては完全な成功だろう。そして、彼は家に帰る。キャリアをスタートさせ、最高の選手と認められているところへ。ここロサンゼルスにおいても、とても上質なピッチャーだったと記憶されることを願うばかりだ」
締めくくりの文章には、ドジャースの苦しい時期を耐え抜いた黒田に対する筆者とロサンゼルスからの愛情が満ち溢れていた。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count