野球殿堂に4人選出もボンズ氏らはまた落選 論争続く禁止薬物使用の是非

禁止薬物を使用していたか、グレーゾーンにいる人物も多い

 2007年に元民主党上院議員のジョージ・J・ミッチェル氏がまとめた「ミッチェル・リポート」と呼ばれる薬物使用の実態を調査した報告書があるが、この中には89選手の実名が挙げられている。また、2009年にはスポーツ・イラストレイティッド誌が、2003年のドーピング検査で104選手が陽性反応を示したことを報じた。

 だが、前者の場合、状況証拠はあるが本人が使用を否定しているケースが多く、後者の場合、陽性反応を示した一部選手の名前は明らかにされたが全員ではない。アンディ・ペティートやマーク・マグワイアのように、自ら使用を認めた人物もいるが、非常に稀なケースだ。つまり、使用していたのかしていないのか曖昧なグレーゾーンにいる人物が多い、というわけだ。

 殿堂入り選手の投票資格を持つ記者は、ボンズやクレメンスのように非常に色濃いグレーゾーンにいる人物は選考対象外にしたり、ステロイド時代にプレーしていた選手はすべて対象外にしたり、ステロイド時代はそういう時代だったんだと全員を選考対象にしたり、各々の価値基準を決めて選考に臨んでいるわけだが、自らの投票を終えた後でも「これでよかったのか?」と悩むこともあるという。

 また、さらに問題を複雑にしているのが、ステロイド以上に長く野球界に存在すると言われるアンフェタミンなどの興奮剤系薬物の存在だ。興奮剤系薬物も現在は使用禁止薬物とされているが、すでに殿堂入りを果たしているマイク・シュミット(元フィリーズ)やリッチ・ゴセージ(元ヤンキース)など、現役時代にアンフェタミンを使用した事実を認めている人物もいる。

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